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南シナ海の中国主権否定(その2)

中央公論 10/10(月) 9:30配信

☆南シナ海の中国主権否定

旬なニュースの当事者を招き、その核心に迫る報道番組「深層NEWS」。読売新聞のベテラン記者で、キャスターを務める吉田清久編集委員、近藤和行編集委員の両氏が、番組では伝えきれなかったニュースの深層に迫る。

 オランダ・ハーグの仲裁裁判所は、南シナ海をほぼ囲い込む中国主張の「九段線」に法的根拠はない、などとする判決を示した。中国が主張してきた主権が否定されたことで、南シナ海、そして東シナ海をめぐる状況はどうなるのか、キャスター二氏が語り合った

(その1より続く)
吉田 仲裁裁判所の判決は、法的拘束力はあっても強制できません。中国は、自分たちの主張が認められなければ力で変えていくしかないと考え、現状変更をさらに進めていくのではないでしょうか。二十一世紀に、力で制するという帝国主義的な姿勢をとるのは、国際社会の感覚と大きくずれています。九月に中国・杭州で開かれるG20までは静かにしていると見られますが、次の米大統領が正式就任する来年一月まで政治的空白ができてしまいます。そこでの中国の出方がカギを握りそうです。また、フィリピンのドゥテルテ大統領の動きも気になります。中国の支援を取り付けて二国間協議を進める可能性もあります。

◆尖閣への影響
「歴史を振り返ると中国は一九七四年に西沙諸島で軍事力を行使した。そのときの相手は南ベトナム。米軍がベトナム戦争から引いたときに進出しています。八八年にはベトナムを攻撃してスプラトリー諸島のいくつかを取った。このときは後ろ盾だったソ連が引いた。九五年のミスチーフ礁は、アメリカが冷戦が終わったあと、この地域から引いた。フィリピンから追い出された訳ですけど、そこを狙ってきている。そうしたロジックから考えると、南シナ海、東シナ海の問題も、中国から見てそこにチャンスがあると思えば出てくる。日米同盟に何らかの問題が見えれば、チャンスととられる可能性は十分ある」=飯田氏(七月十二日)
「日本が南シナ海に深く関与することを示せば、東シナ海での牽制はさらに強くなる可能性はある」「口で反論しても中国は言うことを聞かない。エスカレートするだろう。中国が一番嫌がるのは、日本が海警活動を発動すること。中国はこぶしを振りかざしてきたら、やるぞと言うんですが、本当に来られたら困る。本当にやったらアメリカには勝てないと思っている」=小原氏(七月十九日)
近藤 中国はこれまで南シナ海で、米軍の撤退など「力の空白」ができると、すかさず島などを奪い取ってきた過去があります。東シナ海も対応は同じと考えた方がいいでしょう。尖閣周辺でも最初は漁船、次に公船、そして軍艦を回航させ、圧力のレベルを上げてきています。中国は国内経済が停滞しており、国民の不満を外にそらせるため、場合によっては、強硬な手段をとることも考えられます。日米だけでなく、韓国やインド、オーストラリアなども含めた同盟・協力関係を強化することが大切です。
吉田 力による現状変更で紛争を起こすことは、国際的な孤立化を招いて不利益になる、ということを中国に分からせることが必要だと思います。ASEAN諸国やヨーロッパ諸国と協調し、中国が国際法をきちんと守るよう働きかける外交的努力も重要です。
(了)
構成/読売新聞調査研究本部 福永聖二
関連記事はヨミウリオンラインに掲載されています 
http://www.yomiuri.co.jp/feature/shinso/

最終更新:10/10(月) 9:30

中央公論

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