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学校不祥事の顛末-LINEで私的な連絡を取り、不適切な行為を働く-(2)

教員養成セミナー 10/10(月) 11:00配信

「嫌だ」と言えない児童生徒の弱みに付け込む卑劣な行為

【今月の事例】
 A県教育委員会は、自分が勤務する学校の女子生徒に不適切な行為を働いたとして、県立高の男性教諭(27)を同日付で懲戒免職処分にした。県教委によると、部活の顧問をしていた県立高教諭は無料通話アプリ「LINE(ライン)」を活用して女子生徒に私的な連絡を行い、複数回、勤務校の教室内で生徒を抱きしめ、口にキスした。県教委の事情聴取に対し、教諭は「好意を抱いていた」と話しているという。県教委によると、教諭が連絡手段として生徒のLINE のIDを取得する際には、学校長の許可が必要だが、県立高教諭は「面倒くさい」と申請していなかった。
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■教えるプロ意識の欠如

 本事例のように、LINE 等でのやり取りをきっかけに、不適切な行為に及ぶ教員が増えています。最近は、若手教員にとどまらず、指導力の高いベテラン教員においてもこうした事件を起こすケースが少なくありません。教育に関わる者としては、こうした事件が起こるたびに、怒りとともに虚しさを覚えます。

■教育者としての使命感や自覚はどこへ

 どの教師も児童生徒の前に初めて立ったとき、強い使命感と自覚、情熱を持ち、全力を尽くす志を持っていたはずです。こうした事件を聞くと、その“初心”はどこへ行ったのかと問いたくなります。

 教師は児童生徒一人一人にとってかけがえのない存在です。良き社会人として教え導く存在であり、児童生徒の“範”でいなければいけません。事件の成り行きは当事者にしか分かりませんが、被害にあった生徒が受けた将来への影響、保護者や地域の方々の怒りや不信感、他の教師や学校に与えた影響を考えれば、決して許されることではありません。

 学校現場においては、日々の指導等への“慣れ”や“おごり”、“思い上がり”が、初任時の“自覚と使命感”を希薄にしてしまうことが少なくありません。本事例において、校長の許可が必要だったにもかかわらず、「面倒くさい」という理由でそれを怠っていたことを見ても、そうした“慣れ”があったものと思われます。

 この教諭の行為は、「信用失墜行為の禁止」に抵触するだけでなく、「上司の職務上の命令に従う義務」にも違反しており、懲戒免職処分は致し方ないところと言えます。こうした身勝手な教員がいると、「チーム学校」としての指導体制も崩壊させてしまいかねません。

 教師には、研修(研究と修養)に励むことが義務づけられています(教育基本法第9条、教育公務員特例法第21 条)。崇高なる使命を自覚するとともに、学校という組織の一員であることを意識することが求められます。


■“立場”を利用して“弱み”につけ込む

 学校においては、部活動などで一斉に連絡を取る際、メールやLINE 等のアプリを活用すると便利なのは確かです。実際に、そうした活用が広がっている側面もあるでしょう。しかし、そうした利用の延長線に、教師・生徒間での私的なやり取りが生じ、1対1での交流が生まれ、個人的な感情が生まれることもあります。

 教師が好意を抱き、言い寄った場合、生徒は断ったり、拒んだりしにくい側面があります。教師は指導する立場、生徒は指導される立場ですから、生徒は「嫌なこと」であっても「従わなければならない」という気持ちがどこかにあります。そうした立場を利用して、教師が一方的に言い寄り、生徒が誰にも相談できず悩み続けるケースは少なくありません。事態が発覚するのは、生徒が勇気をもって親や友人、他の教師に相談したときですが、そこに至るまでにどれだけ悩んだかは計り知れません。


■ LINE での私的連絡を禁止する自治体も

 LINE などコミュニケーションツールの普及により、周囲からは見えない教師・児童生徒間の関係性が生じるようになりました。そうした状況を踏まえ、自治体の中にはこうしたツールを利用した私的な連絡を禁じている所も出てきています。
 いずれにせよ、教師を目指す皆さんは、“自覚”と“使命感”をいつまでも忘れず、肝に銘じてほしいと思います。


※「教員養成セミナー2016年11月号」より

濱本 一(共栄大学教授/前埼玉県教育局市町村支援部長)

最終更新:10/10(月) 11:00

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