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SMAPの世界観を崩したジャニーズへの失望

東洋経済オンライン 10/10(月) 5:00配信

前回に引き続き、『SMAPは終わらない』(垣内出版)の著者であり、気鋭の評論家として注目を集める矢野利裕氏との対談をお届けする。今回はSMAP解散における批判が集まっているジャニーズ事務所についても、徹底的に議論してみた。

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前編:「SMAP解散」に見えた芸能人という名の労働者

■あの人がくれたもの

 常見 陽平(以下、常見):もしSMAPの5人がジャニーズ事務所にいなかったら、これだけ有名になれていたのでしょうか。

 矢野 利裕(以下、矢野):難しいですね。SMAPが唯一無二なのは、アイドルの中では自由だけれど、やっぱりアイドルであるという両義性があるからです。その両義性は、ジャニーズアイドルをやることで、保たれていたところもある。もしかしたら、木村(拓哉)君は俳優だけやり、中居(正広)君は歌わずにバックダンサー……好きなこと・得意なことだけをやっていたら、そんな形になっていたかもしれません。

 ですがSMAPが人気を得るためには、いつもバラバラな5人がステージの上で一緒に踊ったり歌ったりすることが大事だった。アイドル性がないと、SMAPの強度も発揮されないのです。それを舞台に上げ続けたのは、ジャニーズの歴史があるから。彼らが売れたのは、歌や踊りが上手いから、あるいは、親しみやすいから、という単純な話ではないでしょう。

ジャニーズだからこそのSMAP

 常見:ジャニーズだからこそのSMAPであったわけですね。ジャニーさんの嗅覚ってすごいですよね。次の時代に好かれる男の子を見つける。

大学時代、『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)などで知られる、楠木建先生による「生産管理」という名の、経営学講義で印象に残った話がありました。 プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)という分析法があります。市場成長率と市場占有率の高低でマトリックスを組む。成長率が高くて、シェアも高かったら「花形商品」。成長率は低いけれど、シェアが高かったら「金がなる木」。成長率が高くてシェアが低かったら「問題児」。成長率もシェアも低かったら「負け犬」です。

 事業をするにあたって、花形商品と金のなる木を作っていくのかがポイントです。さらに、今は問題児と負け犬でも、他のシェアの維持に貢献していたり、そのうち花形商品と金のなる木になったりする可能性もあります。ですから、企業の中でバランスよく配置することが大切なんです。そのとき、楠木先生が「これが抜群に上手い会社がジャニーズ事務所だ」と言ったことをよく覚えています。

■「ジャニーズ系」というイメージができている

 矢野:ジャニーさんの嗅覚はすごいですよね。「ジャニーズ系」というイメージができているくらいですから。

 アイドル評論でよく言われたのは、コミュニケーションのネタになるようなものを投下して、コミュニティが活性化する、その方法がクレバーだということです。僕は、ジャニーズの場合は違った印象もあります。ジャニーズは、必ずどこかで一個攻めていく。そこでコミュニケーションが再編成されていて、次のステージでは独壇場になっていく。その歴史なんです。

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最終更新:10/10(月) 5:20

東洋経済オンライン

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