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『勇者ヨシヒコ』『刑事ダンス』『家政夫のミタゾノ』……秋の深夜ドラマは“変化球”ばかり!?

リアルサウンド 10/11(火) 6:10配信

 秋のドラマを総チェック! 「21~22時台」から始まる「プライムタイム」のドラマをひと通り眺めた前編【石原さとみ、新垣結衣、米倉涼子……秋ドラマのプライムタイムは“闘う女たち”が活躍】に続く後編では、テレビドラマの可能性を模索する「深夜ドラマ」を見ていくことにしましょう。今季も「女性主人公の活躍」が顕著な「プライムタイム」と比べると、老若男女、多種多様な主人公たちが、いつにも増して斜め上の発想で活躍する作品が多い気がする、今季の「深夜ドラマ」。まずは、いよいよ本気を出してきた(?)“深夜ドラマの雄”こと、テレビ東京の「深夜ドラマ」から。

■“深夜ドラマの雄”テレビ東京の本気

 この秋、神谷町から六本木3丁目へと本社を移転するテレビ東京は、“六本木3丁目移転プロジェクト”と銘打った、さまざまな記念企画を展開中。深夜帯にも、その名を冠した特別ドラマが登場します。それが、10月7日の深夜からスタートした、ドラマ24『勇者ヨシヒコと導かれし七人』(毎週金曜24時12分~/テレビ東京)です。2011年、ロールプレイングゲームの世界観を大いに意識した、けれども超低予算な冒険活劇として視聴者の度肝を抜いた「勇者ヨシヒコ」。その続編から、さらに4年という長い歳月を経て……まさしく満を持して登場する、シリーズ第3弾です。主人公ヨシヒコを演じる山田孝之をはじめ、ムロツヨシ、木南晴夏、宅麻伸、そして佐藤二朗など、レギュラー陣は変わらず。脚本・演出を担当するのは、もちろん福田雄一。映画『HK/変態仮面』シリーズのヒットをはじめ、来年公開予定の実写版『銀魂』、実写版『斉木楠雄のΨ難』の監督に起用されるなど、近年ますます勢いづいている福田監督の“出世作”とも言える作品だけに、かなり力の入った……けれども観ているほうは脱力必至の福田ワールドに期待です。

 そして、今年4月に設置された“土曜ドラマ24”枠では、前クール、TBSのドラマ『せいせいするほど、愛してる』で、“浮かばれない系男子”を好演していた中村蒼が主演する、異色の刑事ドラマ『潜入捜査 アイドル・刑事(デカ)ダンス』(毎週日曜24時20分~/テレビ東京系)がスタートしました。中村蒼にとって初のコメディ作品となる本作は、新人刑事がアイドルユニット「デカダンス」を組んで、芸能界に潜入捜査する……という、なんとも荒唐無稽な物語。しかし、そのプロデューサー欄に、『ゴッドタン』などで知られるテレビ東京の奇才・佐久間宣行の名前があることに注目です。そう、実はこのドラマ、テレビ東京のバラエティー班とドラマ班がタッグを組んで送り出す、実に野心的な作品なのです。中村蒼と「デカタンス」を結成する、大東駿介、横浜流星、森永悠希、立花裕大ら、個性派若手俳優たちの振り切った演技ともども、その破天荒な内容に注目です。

 さらに、前クール、永野芽郁の初主演ドラマとなった『こえ恋』のあとを受けてスタートするのは、森三中の大島美幸とメイプル超合金の安藤なつという、実に異色の2人がW主演を果たす『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』(10月14日(金)24時52分~/テレビ東京系)。『いつかティファニーで朝食を』などで知られる漫画家マキヒロチの人気漫画を原作とする本作は、“住みたい街ナンバーワン”であるという吉祥寺で不動産業を営む双子姉妹が、来訪する客に、表題のごとく、なぜか吉祥寺以外の物件ばかりをお勧めする、異色の“街ブラお引越しドラマ”になるのだとか。主演の2人の掛け合いはもちろん、彼女たちが暮らす吉祥寺の街並み、そして毎回客として登場するゲスト、さらには本人役として登場することが発表されたピースの又吉直樹など、ほっこりとした魅力に溢れた一本となりそうです。

■えっ、この人が、深夜ドラマに!?

 “意外性”という意味では、他局も負けていません。その第一報を目にしたとき、思わず「えっ?」と声を上げて驚いたのは、『家政夫のミタゾノ』(10月21日(金)23時15分~/テレビ朝日)。否が応にも、松嶋菜々子主演のドラマ『家政婦のミタ』(日本テレビ)を想起してしまうタイトルですが、よくよく考えたら、その元ネタである市原悦子主演の『家政婦は見た!』シリーズは、テレビ朝日の作品。遂に本家が動き出します。けれども、よく見たら“家政婦”ではなく“家政夫”。そう、本作の主人公である“最強/最恐の家政夫”こと三田園薫は男性。というか、それをTOKIOの松岡昌宏が演じることが、何よりの衝撃でした。しかも、なぜか女装しているし……。とはいえ、オリジナル脚本を担当するのは、『半沢直樹』、『下町ロケット』の八津弘幸など一流の脚本家たち。さらに、チーフ演出は、木村拓哉主演の『アイムホーム』や、草なぎ剛主演の『スペシャリスト』などを手掛けた七高剛が担当するなど、これは意外と本気の一本なのかもしれません。

 それと同じく、「深夜ドラマに、この人が?」と思わず驚いたのが、黒木メイサと新井浩文がW主演を果たす『拝啓、民泊様。』(10月25日(火)25時28分~/TBS系)。新井浩文はともかく、黒木メイサがこの時間帯に登場するとは驚きです。そして、気になるその内容は、表題の通り、近頃何かと話題の“民泊”の実態に迫ったものとなるのだとか。“鬼嫁”黒木メイサと、リストラを言い渡された“夫”新井浩文が、ひょんなことから民泊ビジネスを始めるという物語。民泊が初めて認可された国家戦略特区域である大田区の全面協力のもと、民泊ビジネスのリアルやハウツー要素も盛り込んだ内容になるようなので、来るべき東京オリンピックに向けて、何かと勉強になりそうな一本です。

■深夜の“捜査官”は、いずれも超変化球

 「女性主人公の活躍」と並んで、「捜査官もの」が多く見られた「プライムタイム」のドラマですが、それは「深夜ドラマ」も同様。しかし、先述の『潜入捜査 アイドル・刑事(デカ)ダンス』を筆頭に、その設定は「プライムタイム」以上に、ぶっ飛んでいます。たとえば、TBS“水ドラ!!”枠でスタートする、柄本佑主演の『コック警部の晩餐会』(10月19日(水)24時10分~/TBS系)。その内容は、料理の腕前がプロ級の“コック警部”こと“古久星三(こっくほしみつ)”が、容疑者たちを晩餐会に招いて犯人をあぶりだすという、前代未聞のグルメ・ミステリー・ドラマになるのだとか。連続ドラマ初主演となる柄本佑はもちろん、本作がドラマ初挑戦となる小島瑠璃子の演技、さらには“深夜の飯テロ”たる料理の数々も見どころの一本となるようです。

 そして、先頃、年内でAKB48グループから卒業することを発表した島崎遥香が主演する『警視庁 ナシゴレン課』(10月17日(月)24時15分~/テレビ朝日系)。こちらも、かなり奮った設定になっています。島崎演じる、卓越した洞察力と推理力を持つ“デカ長”が、現場に出向かず、捜査もせずに、次々難事件を解決。しかも、それをワンシチュエーション・コメディで描くというのだから驚きです。古田新太、勝村政信ら舞台出身のベテラン俳優に加えて、『火花』の波岡一喜、「大人計画」の猫背椿など、アクの強い共演者たちのなかで、島崎遥香は、どんな座長ぶりを披露するのでしょう。ドラマ『ゆとりですがなにか』の演技が好評だった“ぱるる”だけに、ファンならずとも注目の一本です。

■地方局発の深夜ドラマ

 変化球を投げてくるのは、何もキー局だけではありません。先述の『拝啓、民泊様。』は、毎日放送の制作。そして、すでに放送がスタートしている『黒い十人の女』(毎週木曜23時59分~/日本テレビ系)は、読売テレビの制作です。映画ファンにはお馴染み市川崑監督の名作を、バカリズム脚本によって現代版にアレンジ。船越英一郎主演、成海璃子、トリンドル玲奈、佐藤仁美、水野美紀らの共演で送る本作。バカリズムと言えば、関西テレビ制作、フジテレビ系で放送された『素敵な選TAXI』が好評を博し、10月10日(月)にフジテレビ系で放送される、広末涼子、井川遥、斉藤由貴主演のオムニバス・ドラマ『かもしれない女優たち 2016』の脚本も担当するなど、芸人やMCとしてはもちろん、脚本家としても絶好調です。

 一方、今春からスタートした、東海テレビ制作、フジテレビ系放送の新ドラマ枠“オトナの土ドラ”では、田辺誠一主演の『とげ 小市民 倉永晴之の逆襲』(毎週土曜23時40分~/フジテレビ系)がスタートしました。山本甲士が2008年に発表した小説『とげ』のドラマ化である本作は、市役所の市民相談室で働く主人公が、市民から寄せられる理不尽な苦情や要望に応えながら、次第にストレスを募らせ、やがて……という内容。田辺誠一の妻役を演じる西田尚美、市長役を演じる鹿賀丈史、そしてモンスタークレーマー役を演じる木の実ナナなど、なかなか胃の痛くなる展開が予想される本作ですが、果たして主人公に平穏の日々は訪れるのでしょうか。

 いずれも超変化球だけに、そのすべてがストライク!というわけにはいかないかもしれませんが、その心意気や良し。この夏、視聴率的には大苦戦となったドラマ界を救う作品は、ひょっとするとこのなかから生まれるのかもしれません。

麦倉正樹

最終更新:10/11(火) 6:10

リアルサウンド

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。