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岡山、クラブ史上初のJ1昇格へ、「今、持っているロープを放さない」

webスポルティーバ 10/11(火) 12:41配信

 10月8日、松本。スタンドは大観衆がチームタオルをぐるぐると勢いよく回し、緑の波がうねって白いしぶきを上げるようだった。ホームの選手は湧き立つ昂揚感を覚えたに違いない。刹那、空を覆っていた灰色の雲が割れ、晴れ間がのぞいた。それは天にも祝福されたような光景だった――。

【写真】長澤体制で成長を遂げた矢島慎也選手、岡山にとって欠かせないキーマン。

 そんな絶対的敵地で、ファジアーノ岡山が勝ち点を得ることは生半可ではなかっただろう。難局でも勝機を見出せるか。その一戦は、来るべき昇格戦に向けて試金石となるはずだった。

 今シーズン、岡山は「クラブ史上初のJ1昇格」を志し、J1昇格プレーオフ圏内(3~6位で行なわれる)につけている。J2リーグ第35節は、自動昇格圏内の2位、松本山雅との直接対決。勝ち点差は6で、勝てば一気に近づけるが、負けると突き放される。

「(11位の)昨シーズンと比べると、選手たちが言われなくてもやるべきことをやれるようになっています。自分たちの判断でどんどんできちゃう。そこは変わりましたね。」

 岡山で監督2年目、長澤徹監督はそう言って、変貌を遂げつつあるチームに手応えを感じていた。勝負に対する執着心だろうか。新しいものを生む「熱」のようなものが、躍進を後押ししていた。

 しかし試合は、戦力的に優位な”J1経験者”松本のペースで幕をあける。

 反町康治監督に率いられた松本はロジカルな布陣を敷き、要所で上回り、試合を支配した。例えば、左サイドには左利きのセンターバック、左利きのウィングバックを配置。Jリーグでは珍しくサイドに左利きを持ってきていることで、幅を広く使い、深さを出し、揺さぶった。相手バックラインをジリジリと下げさせながら、その前のスペースに人が入り、前半から攻守で圧倒した。

 一方の岡山は我慢するしかなかった。劣勢の中、トップに入った赤嶺真吾がボールを収め、ときには敵陣にドリブルで持ち込み、どうにか一時的に挽回する。

「赤嶺は1人で時間を作れる。今日も身を挺(てい)してゲームを収めてくれて。そこは信頼してやってもらっている」(長澤監督)

 もっとも、後半に入ると両サイドを崩される場面が目立ち、バックラインが撓(たわ)んでしまう。混乱が増し、エリア内のマークまでずれるようになっていった。後半52分にはMFの渡邊一仁がカウンターをストップしようとタックルを仕掛け、2枚目のイエローで退場処分に。1人少ない状況でさらに後手に回る。後半62分だった。左サイドからのクロスをヘディングで落とされ、エリア内で受けた工藤浩平にシュートを叩き込まれた。

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最終更新:10/11(火) 13:17

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