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中国企業が猛攻勢!富士通も事業売却へ、「日の丸PC」の限界 リーディング・カンパニーが次々転落

現代ビジネス 10/11(火) 6:31配信

NECに続き富士通も…

 “日の丸PC”の灯がまた一つ消えるのだろうか。

 先週水曜日(10月5日)の深夜から翌朝にかけて、富士通が国内2位を誇るPC(パソコン)事業を中国のレノボと統合するとの報道が相次いだ。これに対し、当の富士通は「本件を含めて、様々な可能性を検討しております」と半ば肯定のコメントをしたのだ。

 PC事業を連結決算対象から外したいと富士通が考えたとしても不思議はない。ある調査会社によると、昨年のPCの国内出荷台数は1055万台と前年比で31.4%も落ち込み、市場の縮小が鮮明になっている。立て直しのメドが立たず、収益の足を引っ張り続けるならば、退かざるを得ないという判断である。

 富士通だけではない。実は、3位の東芝も、粉飾決算の舞台になったPC部門の別会社化をすでに終え、グループから切り離す構えをみせている。

 日本勢と対照的なのが、海外勢だ。5年前にNECのパソコン事業を統合した中国企業レノボは日本市場トップの座に君臨し、米国系のHPとデル・テクノロジーズもそれぞれ2桁のシェアを握っている。

 果たして、日の丸PCに活路は残されているのだろうか。検証してみよう。

限界が近づきつつある国産PC

 現在、富士通は国内向けのデスクトップPCとPCサーバの製造を、福島県伊達市に本社・工場を置く100%子会社「富士通アイソテック」に委託している。一方、国内向けノートパソコンの製造は、孫会社「島根富士通」(今年2月に分社化した100%子会社「富士通クライアントコンピューティング」の100%子会社)の担当だ。

 今春時点の雇用者数は、富士通クライアントコンピューティングが1454人、富士通アイソテックが724人、島根富士通が602人と結構な規模に達している。

 各紙の報道を総合すると、富士通、レノボ両社は、これら富士通のPC子会社か、新たに設立する合弁会社のいずれかに、レノボが過半を出資し、PC事業を統合する方針だ。10月中の最終合意を目指して大詰めの交渉を繰り広げているという。

 両社共通の狙いは、事業統合によって生産・調達規模を拡大し、部品の調達コストを下げることにある。

 統合後も、雇用を維持するためにリストラを行わず、当面は福島と島根の両工場の操業を続ける意向らしい。あわせて、富士通のパソコンブランド「FMV」も存続させる。

 これは、海外と比べて日本国内の消費者にレノボブランドが浸透していないことが理由だ。レノボは、NECとの経営統合でも日本向けPCにNECブランドを残しており、この先例を踏襲するとみられている。

 交渉に至った背景には、スマホの台頭などに伴う日本のPC市場の縮小という、両社にとって深刻な経営問題がある。

 IDCジャパンによると、2015年のPCの国内出荷台数は443万台減の1055万台と前年比で3割以上も減った。

 その中でも落ち込みが激しいのが富士通だ。同社のPC出荷台数は113万9000台減の175万9000台と4割減だった。3割減という市場縮小を上回るペースでシェアを失ったのだ。

 昨年暮れに交渉の事実が明らかになっていた、別のPC事業の統合交渉が不調に終わったことも、富士通のレノボとの交渉を加速する圧力になったとされる。

 不調に終わった相手は、粉飾決算の舞台となったPC事業を本体から分離した東芝の子会社と、投資ファンド「日本産業パートナーズ」がソニーのPC事業を買収・独立させた「VAIO」(本社・長野県安曇野市)の2社。

 それぞれ昔日の栄光が遠くなったとはいえ、東芝のPC部門はかつて世界最初のノートPC「ダイナブック」を生み出した実績を持つ。VAIOにもアップルに先駆けてお洒落なPCとして一世を風靡した歴史がある。

 富士通のPC部門との事業統合が実現すれば、国内シェアが3割を超え、レノボを抜き去り国内トップの座を射止めることが可能だった。世界市場でもレノボ、HP、デルなどに次ぐ6%前後のシェアを握り、規模の闘いとなっているPC市場で日本勢が存在感を取り戻すきっかけになると期待を集めていた。

 が、この3社統合が白紙に戻ったことから、富士通は早急に新たな手を打つ必要に迫られた。米社など各方面に事業統合を打診したところ、候補として急浮上したのがレノボだったという。

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最終更新:10/11(火) 7:36

現代ビジネス

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