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知られざる「106万円の壁」の衝撃!もし配偶者控除廃止になったら… 私たちに残された「二つの道」

現代ビジネス 10/11(火) 12:01配信

 早ければ来年からなくなる配偶者控除
こう対処するのが正解

これは事実上の増税だ

 安倍政権が繰り返し打ち出す「働き方改革」で注目が集まっているのが、配偶者控除の廃止問題だ。政府の税制調査会は今年11月にも叩き台となる案を取りまとめる方針で、早ければ来年から廃止に向けた法改正などが行われる可能性がある。

 国内で約1500万組の夫婦がその恩恵にあずかっているとされる、所得税・住民税の配偶者控除。その廃止が私たちの家計に与える影響は甚大だ。社労士でFPの井戸美枝氏は、こう話す。

 「配偶者控除では、配偶者の給与所得が年間103万円以下の場合に、世帯主の所得から38万円を差し引いてから課税されます。そのため、たとえばサラリーマンの夫とパート収入のある妻という世帯の場合、かりに妻が健康で勤労意欲があっても、配偶者控除の恩恵を受けるために勤務時間をあえて減らして、年収を103万円以下に抑えていることが多い。この制度をやめてしまえば、女性も制度を気にせず活躍して、働けるだけ働くだろう、というわけです」

 建て前上は女性の活躍推進策ということになってはいるが、現実は厳しい。働いて稼ぐ収入を増やせなければ、実質的には増税となり、家計への負担が増すことになる。

 控除の対象となる配偶者(多くの場合、妻)の年齢が70歳以上になると、控除額は38万円から48万円へと自動的に拡大されているので、廃止されると高齢夫婦への影響はさらに大きい。

 配偶者控除に代わり、政府が導入を検討しているのが、新しい「夫婦控除」という考え方だ。

 具体的な内容は明らかになっていないが、「扶養されている配偶者の所得に関係なく、結婚している世帯に対して一定額を控除する」方針だ。

 つまり、妻が働いていてもいなくても、結婚をしているカップルなら控除を受けられるわけだ。ただし、新しい夫婦控除には所得制限が設けられる方向だ。夫婦の年収の合計が「800万円か900万円か、1000万円か。全体の税収とも合わせて検討していく」(茂木敏充・自民政調会長)といい、一定以上の収入があると控除が受けられない可能性がある。

 いずれにしても、「女性も働けるだけ働いて納税してください、経済活動をしてGDPを押し上げてください、というのが本音で、増税や労働時間増といった形で、国民の負担が増える方向に改革が進むことは確実でしょう」(前出・井戸氏)。

 目の前に迫った制度変更。いま私たちにできることは、何だろうか。

 現在、妻がパートなどで年収103万円以下に調整しながら働いている場合は、来年早々にも制度が変わるかもしれないと、あわててシフトを増やしたりしないことだ。

 配偶者控除が来年から完全になくなるか、段階的になくなるかも現時点では確定していない。急に収入を増やして、いざフタを開けてみると施行が先延ばしされ、受けられるはずの控除が受けられないのではバカを見る。

 まず施行時期を見極めたら、次に考えるべきは妻の働き方をどう変えるかだ。

 結論から言えば、新設される夫婦控除に設けられる所得制限がカギとなる。そもそも、夫の収入が所得制限の金額以上なら、いずれにしろ夫婦控除は受けられないのだから、控除を受けるために妻の年収を気にする必要はない。

 問題は、所得制限の金額だ。総務省の統計によれば、現在2人以上の世帯で、世帯収入が1000万円以上の世帯は13%しかない。

 「仮に所得制限を1000万円にすると、夫婦控除で恩恵を受ける世帯が多くなりすぎ、税収の大幅減につながる」と危惧する声が、財務省を中心に囁かれている。

 国家財政も赤字続きの現在、現実的には所得制限は800万円程度になる公算が大きいだろう。

 すると、たとえば夫の年収が700万円だった場合、妻が年収100万円を超えるか超えないかで、控除が受けられるかどうかが変わってくることになる。「103万円の壁」ならぬ「所得制限の壁」に、夫婦で直面することになるわけだ。

 新設される夫婦控除がどれくらいの金額になるのかは、まだ具体案が示されていない。ただ、控除の方法を変える方向で議論が進められている。

 これまでの配偶者控除は、「夫の所得から38万円を引いた上で、収入に応じた税率をかける」方法で計算されていた。たとえば夫の年収が500万円なら税率は20%のため、配偶者控除による減税額は38万円×20%で年間7万6000円。夫の年収が1000万円なら税率33%で減税額は約12万5000円だ。

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最終更新:10/11(火) 12:01

現代ビジネス

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