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「若者離れ」する会社は、未来を軽視している

東洋経済オンライン 10/11(火) 6:00配信

 電通ワカモンの吉田将英です。前回の記事では「『若者の○○離れ』の正体は、前提の変化に対応できず、かつての前提で若者を測ってしまっている、いわば”大人の若者離れ“かもしれない」という仮説を提示しました。

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 ただ、この話の当事者は「若者本人」であって、年長者は一関係者にすぎない、と感じた方もまだまだ多いように思います。「若者との関係性や、その背景の前提が変わりつつある」という事実が、大人サイドに当事者としてどんな影響を及ぼし始めているのかについて、今回は言及したいと思います。

■いつまでも最年少な、30代中堅社員

 「俺、いまだに部で最年少。飲み会の幹事、毎回やってるよ……」

 今年で31歳になった筆者が、同世代の友人と会話するときに少なからず聞こえる声です。部署に後輩がいつまでたっても入ってこない。いまだに雑務を一手に担っている。いつまでも若手扱い……。

 もちろん本人の素養や、人員バランス考慮たまものの結果かもしれません。しかし、それにしても後輩がひとりも下に入ってこないというのは、客観的事実としていびつです。このように、さまざまな企業や組織で「若手不足」がじわじわと広がってきていて、それを身にしみて感じているのは、中間管理職以上の年長者よりも、彼のような30代の現場リーダー世代なのかもしれません。

 現に「自分より下が入ってこないがために、雑務ばかりで成長が見込めないので、転職する」というケースも身近なところに数件ありました。これを「そいつが根性なしなだけ」「30代なんてまだまだ若手なんだから、雑務で当然」などと片づけるのは簡単ですが、組織にとって若手の流出が痛手であることは間違いありません。

 超少子高齢化社会に伴う若手労働力の減少は、さまざまな業界や企業における若手不足につながっています。2018年問題に象徴される大学の定員割れ現象をみても、今後の企業の若手人材の獲得競争は激しくなる一方でしょう。

 言い換えれば、「労働力としての若者」における、総体の量的な意味での希少価値が上がり続けるということであり、雇用先として選ばれない業界や企業は、「中堅社員の後輩不足」や「それに伴う離職率増」など、組織の構成をこれまでどおりに保てなくなっていくおそれすら、あるといえます。

 若者との関係性をいかにつくるかという問いは、決して「若者だけの問題」でも、「若者マーケティング従事者だけの問題」でもなく、実は何らかの組織の構成員である人すべてが当事者、といえるのではないでしょうか。

■若手の「量の影響力」と「質の影響力」

 組織における若手不足のしわ寄せは、「中堅社員の悲哀」だけではありません。何が起こっているのかわかりやすくするために、以下の図を作成しました。

 左が1950年の日本の人口動態に、一般的な年功序列型の組織図をプロットしたものです。右が2015年のそれに、同じく組織図をプロットしたものです。年功序列という組織思想自体の賛否や良しあしについてはここでは触れませんが、その思想には「年長者になるにつれ、人数が少しずつ少なく構成されている組織」という前提があります。年長者は権限が大きい代わりに数が少なく、ひるがえって若手は権限が少なくとも数は多い。このパワーバランスの均衡が、意志決定の世代間の偏りを少なく保っていたのではないでしょうか。

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最終更新:10/11(火) 6:00

東洋経済オンライン

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