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旧ダイエー、イオンに改装で赤字拡大のワケ

東洋経済オンライン 10/11(火) 6:00配信

 「売り上げを半年で元に戻そうとしたが、1年かかりそうだ」――。イオンで総合スーパー(GMS)事業を担当する岡崎双一執行役は、旧ダイエーの店舗の現状についてそう嘆く。

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 10月5日、イオンが発表した2017年2月期の中間決算。売上高は4兆1118億円(対前年比370億円増)、営業利益は723億円(対前年比1億円増)と全体では横ばいを維持した。

 しかしその内容は楽観できない。食品スーパーや総合金融、ドラッグストア事業は増益だが、主力のGMS事業の低迷が続いているためだ。GMS事業は183億円の赤字で、赤字幅は前期(87億円の赤字)から倍増した。

 GMSの既存店は特売を減らすなどして粗利率が改善し、第2四半期(6~8月)から営業黒字に転じた。ただその中でも足を引っ張るのが、旧ダイエーの店舗だ。

■特売日の変更が客離れにつながる

 イオンは、赤字だったダイエーを2015年1月に完全子会社化。同社の食品スーパーはダイエーとして存続させる一方、GMS店舗を相次いでイオン店舗に改装してきた。商品調達や物流面で規模のメリットを生むことが狙いだったが、改装後の店舗運営に手間取り、かえって赤字幅を拡大してしまった。

 改装が客離れにつながった面もある。イオンのプライベートブランドである「トップバリュ」を投入したことで品ぞろえが変わり、特売日もダイエー時代の木曜日から火曜日に変わった。商品管理システムや諸制度の変更に、現場が対応しきれなかったことも大きい。

テコ入れに「黒毛和牛」を復活

 3月に改装した関東と近畿の29店舗では、ダイエー時代に人気の高かった黒毛和牛や婦人向け衣料品など、一部商品やブランドを復活させた。そのため売り上げは回復しつつあるが、依然として改装前の水準には達していない。

 そんな中、イオンが期待を寄せているのが、地域ごとの特性に合わせた売り場やサービスを提供する「イオンスタイル」だ。従来の全国一律型のイオン店舗とは一線を画し、専門性の高さを訴求する。

 先月に改装オープンした神奈川・東戸塚店は、旧ダイエー店舗では初のイオンスタイルだ。近隣にファミリー世帯が多いことをふまえ、4階建ての3階部分をワンフロアまるごと、ベビー・キッズの専門店で埋め尽くした。

■碑文谷店もイオンスタイルに

 ダイエーの旗艦店だった東京・碑文谷店(目黒区)も、12月中旬にイオンスタイルとして再オープンする。食品や生活雑貨の売り場だけでなく、搾りたてのジュースを提供するコーナーや、ワインや日本酒、軽食をそろえたバルも設ける予定だ。

 岡崎執行役は「上期は子育て世代を中心に客離れがあった。消費動向は厳しく、下期(2016年9月~2017年2月)も改善しないとみている。洗剤やシャンプー、冷凍食品など、価格で勝負すべき商品については強烈な価格訴求をしていく」と語る。一方で商品面では、帝人と共同で企画したスーツ(男性用税込み2万0304円)など、独自品の販売を強化する。

 旧ダイエー店舗のうち、北海道、名古屋、九州で先行してイオンに切り替えた店舗は、改装からすでに1年が経過した。システム変更などを言い訳にすることは、もうできない。厳しい消費環境が続く中、GMS事業を早期に立て直すためには、旧ダイエー店舗の再生が最低限の条件となる。

中山 一貴

最終更新:10/11(火) 6:00

東洋経済オンライン

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