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日米の「心地よい相場」は終幕を迎えつつある

東洋経済オンライン 10/11(火) 6:00配信

 9月の米国雇用統計(7日発表)は、またまた悩ましい結果となった。非農業部門雇用者数の伸びは前月比15万6000人と、8月の16万7000人(改定後)から鈍化し、市場予想の17万5000人も下回った。就業者数の伸びは3カ月連続鈍化し、失業率も8月から0.1%上昇し5.0%となった。

 その結果、3カ月平均の非農業部門の雇用者の伸びは19.2万人と、先月の23.0万人から3.8万人減少し、好調の目安とされる20万人を再び下回った。

■米国経済は「ほどよい成長」をしている? 

 今回の雇用統計の結果は、市場参加者の目にはどう映っただろうか。「目標に向かう継続的な動きに関する一段の証拠を待つ」としていたFRB(米連邦準備理事会)に対して、利上げをする「一段の証拠」を与えなかったように映っても、当然の内容だった。

 しかし、FRBの目には若干違ったように映ったようだ。

 フィッシャーFRB副議長は9月の米雇用統計について、「経済は成長しているものの、リスクをはらむほどの速過ぎるペースでの成長とはなっていないことが確認された」とし、理想的な「ゴールディロック」的な結果だったとの認識を示した。

 この発言は、9月末の議会証言でイエレンFRB議長が示した雇用回復が「将来的に危険を及ぼす恐れがある」との見解に呼応するもので、FRBにとって9月の雇用統計は「経済は成長しているもののリスクをはらむほどの速過ぎるペースでの成長とはなっていない」という「一段の証拠」をもたらす内容だったことを示唆するものだ。

「大統領選の最中に利上げは避けたい」米当局

 足元では、市場は「経済成長と金融緩和の共存」を、FRBは「経済は成長しているものの、リスクをはらむほどの速過ぎるペースでの成長とはなっていない」という「ゴールディロック」状況を享受する格好になっている。

 しかし、9月のFOMC後の記者会見でイエレンFRB議長は「私と委員会のメンバーは次のステップの適切なタイミングについて、今回の会合で意見交換した」と述べ、議論になっているのは「利上げの有無」ではなく「タイミング」であることを示している。

 こうした中でフィッシャーFRB副議長が市場予想を下回る結果となった雇用統計を「ゴールディロック」的結果だと歓迎する意向を示したのは、政治的に利上げし難い局面で景気の過熱が見られなかったからだと思われる。

 FRBが政治的に利上げし難い局面を「ゴールディロック」的状況で乗り切ることを望んでいるということは、換言すれば政治的制約が取り除かれれば、直ちに利上げをする方針を持っているということでもある。市場が、FRBの利上げ先送りを一方的に歓迎しなかったのは、「ゴールディロック」状況の終幕がカウントダウンに入ってきていることを意識しているからに他ならない。

■日銀は実質的に「マイナス金利の深掘り」をしている

 一方、日本でも日銀が9月に打ち出した新しい政策「金融緩和強化のための新しい枠組み」が本格的にスタート、新たな状況を迎えつつある。日銀は国債買い入れオペ(日銀による国債買い入れ)を実施しつつ、10年国債の利回りを「概ね0%で推移」させる方針だ。

 しかし、国債買い入れオペを実施することは、10年国債利回りの低下(債券価格上昇)を促すものである。つまり、10年国債利回りがマイナス圏で推移するなかで日銀が国債を購入するということは、「マイナス金利の深掘り」をすることに他ならない(日銀はマイナス金利の深掘りを否定)。7日の国内債券市場でも、実際に利回りはマイナス圏でわずかながら低下した。

 10年国債利回りがマイナス圏で推移するなかで「概ね0%」で推移するように金融調節を行うのであれば、日銀が保有している国債を売却することが必要なはずだ。しかし、日銀による保有国債の売却はマネタリーベースを減少させることになる。

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最終更新:10/12(水) 0:45

東洋経済オンライン

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北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。