ここから本文です

藝大生のアルバイト 最後の秘境「東京藝大」探検記(4)

デイリー新潮 10/11(火) 16:30配信

「たまに凄いお金持ちの学生もいます。家にグランドピアノが6台あるとか……でも多くの学生はふつうの家庭出身のようですよ」

『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』の著者、二宮敦人さんはそう言った。(3)で紹介したように、芸術にはなにかとお金がかかる。お金持ちは良いとして、他の人はどうやってお金を工面しているのだろう? 

■「家屋修復」と「聖歌隊」

 コンビニ、喫茶店、レストランなど、イメージしやすいアルバイトをしている藝大生も多い。大学生らしいのは家庭教師や予備校の講師だが、藝大生の場合はもちろん音楽や美術のレッスンだ。自分の技能を活かしているわけである。

 そして中には、さらに変わった技術の使い方も……。

「家屋修復のバイトが、彫刻科に代々受け継がれているそうです」

と二宮さんが言う。

「家って新築でも、どうしても作業中に小さな傷がついちゃうらしいんですね。それを、お客さんに引き渡す前に綺麗に修復する仕事。パテで傷を埋めたり、同じ色の絵の具で塗ったりして、ピカピカの状態に戻すんですって。手先の器用な藝大生ならではです」

 自宅についた傷も、このバイト経験者なら簡単に直せるそうだ。なんとも便利な技能である。

「それから、ブライダルの聖歌隊。これは声楽科の学生さんのアルバイトです」

 声楽科、あるいはハープやピアノ、ヴァイオリンの専攻では、ブライダルでの演奏が事務所経由で依頼されるそうだ。日によっては、1日に6回もかけもちすることがあるという。長続きするのが難しいバイト、ということだが……。

「疲れるというより、何だか麻痺してきて、ありがたみがなくなってくるそうですよ。毎回、『あなたたちのためだけに、今日は演奏します!』という顔で弾かないとならないそうですからね……それが嫌になって、やめてしまったという方もいました」

 作曲家の学生のもとにはメドレー編曲の依頼が舞い込むこともあるそうだ。みな、それぞれの技を活かして働いている。

1/2ページ

最終更新:10/11(火) 16:49

デイリー新潮

記事提供社からのご案内(外部サイト)

デイリー新潮

新潮社

「週刊新潮」毎週木曜日発売
「新潮45」毎月18日発売

「デイリー新潮」は「週刊新潮」と「新潮45」の記事を配信する総合ニュースサイトです。

Yahoo!ニュースからのお知らせ