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崖っぷち結婚相談所:婚活成功の鍵は、「大人」になること?複数同時進行で、相手を見極めろ

東京カレンダー 10/11(火) 5:20配信

典型的な結婚できない女、杏子、32歳。

慶應大学卒業後、丸の内の某外資系金融でセールス職に就き、年収は2,000万円を優に超える。

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美人だがプライドが高くワガママな彼女は、男運が悪く全くモテない。さらにハイスペックゆえ、男が近寄りたくない女ナンバーワンとまで噂されている。

婚活に危機感を持ち始めた杏子は、結婚相談所に登録した。婚活アドバイザーの直人からアドバイスを受けつつ、2回目のマッチングは、成功。段取りの悪い相手に苛立ちながらも、杏子はデートを無事済ませた。そして...?

心ここにあらずな杏子。仕事ミスの原因は...?

杏子は柄にもなく、仕事で何度もミスをした。

普段はしない物忘れをしてしまい、大事なクライアントとのミーティング中でも身が入らずに、つい意識が飛んでしまう。

上司や同僚からも、怪訝な視線を向けられた。普段は仕事に妥協を許さない杏子に対して、彼らは咎めるというより、「体調でも悪いの?」と、何度も心配してくれた。

―私らしくない、しっかりしないと...。

濃いエスプレッソをダブルで一気に飲み干すが、やはり杏子は、いつものようにエンジンがかからず、集中力も長続きしない。

優秀な杏子が、こんな精神状態に陥ったのは、初めてのことだった。不安で心細く、自分が自分でないように思える。

杏子は、「魔女の宅急便」のキキが、急に箒で飛べなくなり、猫のジジの言葉が分からなくなってしまったシーンを思い出す。

そう、原因は分かっている。あの物語のトンボみたいな男、正木のせいなのだ。

それを意識すると、杏子の胸のあたりは、キュッと切なく締め付けられた。

複数同時進行は、婚活に於いては「常識」という事実

「どうしたんですか、そんなに悲しそうな顔して。いつもの勢いがないですね。」

直人は、いつもの丁寧だが愛嬌のない口調で言った。

「ご連絡した、新しいオファーの方の資料はご覧になりました?なかなか良い方だと思いますよ。ほら、こちらです。」

杏子は生気なく、直人の提示したプロフィールシートに視線を落とす。

そこには、細い目、細い眉、細い唇をした、幸の薄そうな顔をした男の写真があった。一本の線だけですべて書けてしまいそうな顔だ。ジャニーズ顔をした正木の顔とは、全く異なる。

「私、また新しい人と会わないといけないんですか...。」

「だって、正木さんから連絡がないのでしょう?その場合は、同時進行で他の男性とも婚活に励むことをお勧めしますよ。ただ、正木さんが気になるなら、前回のように、杏子さんからも連絡をしてみたらいかがですか?」

「...だって、急患か何かでお忙しいだけかも知れないし、正木さんから連絡するって言われたんです。また会おうねって。それに...。」

「それに?」

「いいえ、何でもありません...。」

「そうですか。まぁ、だいたい想像はつきますけどね。」

「え?!べ、別に、私たちはイヤらしいことなんて、してませんよ?!」

杏子は顔が赤くなる。直人からの的確なアドバイスは欲しいが、実は正木に抱きしめられたと告白するのは、何となく恥ずかしかった。

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最終更新:10/11(火) 5:20

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