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和田秀樹:大隅博士のノーベル賞にみる「日本人に理想の教育」とは

nikkei BPnet 10/11(火) 10:34配信

楽観できない日本の研究の将来

 大隅良典博士がノーベル医学生理学賞を単独受賞した。

 中国や韓国は、これを(というか、日本人が立て続けにノーベル賞を取ることになのだろうが)相当うらやましく感じているようだ。賞賛の報道もあるし、自国のシステムの批判のためにこのニュースを用いているところもある。

 私自身、たまたま山中伸弥氏を京大に引き抜いたとされる元京大教授と知り合いだった関係で、iPS細胞については、受賞前からある程度勉強していたが、オートファジーについては不勉強だった。

 これも、将来的に、かなり応用可能な分野のようで、日本の基礎研究のレベルの高さを知り、素直に感嘆している。

 ただ、私は、日本の研究の将来についてはそんなに楽観していない。

 というのは、この30年ほど、日本の教育がいい方向に向かっているとは思えないからだ。

ノーベル賞を出す教育には二つの条件がある

 ノーベル賞を出すような良質な研究であれ、その国の技術水準の高さであれ、それを実現する教育には二つの条件があると私は考えている。

 一つは、基礎学力の高さだ。

 独自の発想力や頭のよさがあればノーベル賞を取れるかというと、過去事例を見る限り、決してそうではない(文学賞や平和賞はともかくとして、自然科学系の分野でも、経済学賞でも)。

 日本でも現在の受賞者は、すべて国立大学の出身者であり、厳しい受験競争に勝ち抜いたと同時に、多科目受験の経験者である。

 物理の研究者であれば、物理だけが突出してできる人であればいいというわけではなさそうなのだ。

 外国はそうでないというかもしれないが、ほとんどの研究者は、その国のトップレベルの大学を卒業している。日本以上に高校在学時のGPA(各科目の成績から特定の方式によって算出された学生の成績評価値)が入試の判定に重視されるので、やはり基礎学力がかなり高くないとそういう大学には入れない。

 アインシュタインが学校の勉強が嫌いだったり、言語能力に問題があったとされているが、物理と数学の成績がいいから無条件に大学に入れたわけでなく、ギムナジウム(ヨーロッパの中等教育機関)の卒業ができるまで大学入学を許されなかったように、研究者としての最低限の基礎学力は担保されていたのだろう。

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最終更新:10/11(火) 10:35

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