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千葉マリンスタジアムの命名権の中途解除にみる、日本のネーミングライツの問題点

nikkei BPnet 10/11(火) 10:36配信

 千葉マリンスタジアムの命名権の中途解除をQVCジャパンが千葉市に求めた問題で、QVCが市と千葉ロッテに合わせて3億3000万円の違約金を支払うことで3者の合意が成立しました。

 解除された契約内容は、2011年から2020年までの10年間、年間2億7500万円を、市と球団に払う(それぞれに1億3750万円ずつ)というものですから、違約金は残る4年の契約金の3割だったわけです。

 それにしても、QVCの「社の知名度を上げ、地域とのつながりを強化するという当初の目的を思いのほか早く達成することができた」という買い手サイドの解除理由を、中途解除契約の条項を入れていなかったはいえ、売り手サイドの千葉市と千葉ロッテ球団があっさり受け入れるという、その(少なくとも表面上は)平和な解決がなんとも不思議な一件でした。

どちらかのトラブルが原因

 これまで、日本はもちろん、その元祖アメリカにおいても、命名権契約が中途解除となるのは、契約主体のどちらかのトラブルが原因です。

 アメリカで有名なのがヒューストン・アストロズの本拠地球場。1998年に開場した際に命名権を購入したのはエンロンでした。世界中から優秀な人材を高額の報酬で引き寄せ、電力自由化の旗手、夢の企業ともてはやされた同社が、粉飾決算が明るみに出ると一転、次々と不正が暴かれて、2001年、アメリカ史上最大の倒産劇(当時)となったことを覚えている方も多いでしょう。

 あれから、もう15年間か~、とアラフィフのせいか、エンロン華やかなりし頃、アメリカに住んでいたせいか、とても懐かしい気もしますが、そういう話ではなくて、永久に不滅と思われたエンロン・フィールドは、エンロンの倒産とともに即、アストロズ・フィールドの暫定名称になり、その後は、めでたく、コカ・コーラ社が命名権を購入し、その商品名を冠したミニッツ・メイド・フィールドとなりました。

 日本ですと、エンロンのような買い手の不祥事が原因で契約解除となった例は、楽天の本拠地の命名権を買ったフルキャストと、西武の本拠地の命名権を買ったグッドウィルのケースが有名ですね。どちらも、2007年、違法派遣で業務停止となったことを受けて、契約を解除することになりました。グッドウィルはその後、倒産しましたね。

 売り手側の問題でうまくいかなかった代表例は、渋谷区の宮下公園の例でしょう。2009年、渋谷区は、宮下公園の命名権をナイキに10年総額1億7000万円で売却した。契約の条件には、公園の改修費用と整備費用もナイキが負担することが含まれていましたが、これに対して、ホームレスの強制排除や、公園を有料化するのはおかしい、説明が不十分であるなどと問題視する反対運動が広がりました。渋谷区は、契約に基づき改修工事を開始したものの、これに対してナイキは、命名権料を支払ったうえで、宮下公園の名称を存続させることを表明しました。ナイキがそうした理由は、明らかにレピュテーションリスクの管理です。

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最終更新:10/11(火) 10:36

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