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飛び込み営業先のお客さんから紹介された女性。それが今の妻です。

nikkei BPnet 10/11(火) 10:45配信

元の婚約者とは別れる前から引き合いがあった

 今から2年前、ある地方銀行で小さな事件が起きた。支店内で出会って結婚の約束をしていた2人が、結婚式や新居に関してことごとく意見が合わず、婚約が破談になってしまったのだ。他人からすれば聞き飛ばすような話だが、当事者にとっては一生の傷になりかねない出来事である。

 幸運にも、別れた後の2人はそれぞれ別の伴侶を見つけて結婚した。そして、現在も同じ銀行内の別の職場で働き続けている。数千人規模の大企業であれば、男女関係で何かあったとしても顔を合わせずに定年を迎えることも可能なのだ。ただし、人事部の手間はそれだけ増えることになる。

 筆者が話を聞いているのは、夫になるはずだった中村康浩さん(仮名、30歳)。今では穏やかな新婚生活を送っている康浩さんは、2年前の破談はすでに「完全に笑い話」だと振り返る。社内のテニス部や支店内でもタブーにはなっていないらしい。むしろ失敗が明らかな結婚を踏み止まった好事例として語られている。

 ハンサムで礼儀正しい銀行員の康浩さんには、元の婚約者の真理子さん(仮名、33歳)と別れる前から引き合いがあった。なんと、飛び込み営業先の個人宅でお見合い話を持ちかけられたのである。時は真理子さんとの結婚話が破談になる3カ月前にさかのぼる。

優秀な営業マンは商品より前に自分自身を売る

「以前にうちの銀行で取引があったデータのあるお客さんを調べて、飛び込みで訪問することがあります。僕の場合はほとんど興味本位でやっています(笑)。その家の奥様は60代のきさくな方で、『おたくの銀行の口座を持っていたはずだけど通帳をなくしちゃった』と言われました。もちろん、僕が新しいものを作ってお届けしました。第一印象はマルだったかな、と思います」

 康浩さんの印象は丸どころか二重丸だったようだ。その奥様は他行にあった口座を移してくれただけでなく、康浩さん自身の世話まで焼こうとしてくれた。

「独身かどうかを聞かれたので独身だと答えました。当時、婚約中だったのですがウソではありませんよね(笑)。その奥様は自宅で料理教室の先生をされていて、あるときに教室の生徒さんを紹介されました。その人の娘が今の妻です」

 高額商品を扱う優秀な営業マンは商品より前に自分自身を売ると言われる。好かれたり信用されることが何より大事なのだ。康浩さんの場合は、地元では名の知れた銀行の正社員であり、見た目は爽やかでマナーも申し分がない。料理教室に通うマダムたちが過剰に反応したのもうなずける。現在は義母となった悦子さん(仮名)は、康浩さんからもらった名刺を大事に持ち帰り、愛娘との縁談を進めようとした。

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最終更新:10/11(火) 10:45

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