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“風格”は意識次第で誰でも手に入れられる

nikkei BPnet 10/11(火) 10:46配信

「もし○○だったら…」という思考で変わるマナー

 旅客機内は、大量の機内用品(カトラリー、薬、アメニティーなど)を効率よく収納するため、壁という壁に無数の扉があります。しかしながら、飛行機の揺れや傾きにより扉が開き、中身が飛び出してしまったら大変危険です。そのため、全ての扉は開閉がとてもきつくできています。すると新人CA(客室乗務員)は、つい思いきり力をこめてバーンと閉めてしまいます。私も新人時代、先輩CAから「音を立てて閉めてはいけません! お客様がお目覚めになります」とよく注意されていました。訓練所では教官から散々「扉の開閉は両手で、静かに」とたたき込まれているにもかかわらず、です。

 忙しい時間帯になれば、新人CAはついバタバタと歩いてしまったり、片手でパッとキッチンのカーテンを開閉してしまったりします。すると「音を立てずに静かに歩いてください」「片手で開けるなんて下品です!」ともれなく注意されます。

 このように、理屈で分かっていてもついやってしまう仕草に関しては、徹底するのが難しいですよね。とはいえ本番でボロを出すわけにはいかないので、現場にいなくとも日頃からイメージすることが効果的です。

 日大藝術学部の映画学科で学んでいた私は、在学中あらゆるジャンルの映画を観てきました。その中でも、CA時代はもちろん、現在も所作の参考になっているのは時代劇です。時代劇の人物は和室の襖も必ず両手で静かに、人様にお尻を向けることなく開閉します。何かを持ち上げ、差し出す時も両手です。向きもちゃんと相手目線に直します。畳の上をバタバタ歩くことも滅多にありません。静かにそっと歩きます。

 フライトが終わると現代っ子感覚、易きに流れそうになりますが、完全に自分の習慣になるまでは、そういった光景を頭に焼き付けるのです。すっかり身についた今では、すかさず注意してくださった先輩方のお気持ちがよく分かります。

 皆さんも、理想の人物を思い浮かべて今の自分の振る舞いや話し方を見直してはいかがでしょうか。理想の人物は歴史上の偉人、というよりは己のパフォーマンス向上のために立ち居振る舞いや態度が参考になる人物を選びます。

 私の場合は、TPOにより異なりますが、VIPの顧客対応のような場面ではベテランの一流CAさんを思い浮かべます。あくまで控えめに、お客様をそっとお守りするイメージが中心です。しかしながら知識豊富で物怖じをせず、いつでも臨機応変な対応を行います。お客様に安心してくつろいでいただくために、声量は耳障りにならない程度、笑顔を絶やさないよう、清潔感ある身だしなみや振る舞いに徹します。「もし○○さんだったら…」と思い浮かべることで、前回お伝えしました「間」のほかにも、具体的なパフォーマンスを向上させることができるのです。

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最終更新:10/11(火) 10:46

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