ここから本文です

「ガラス張りが一番」 役員は立候補制、みんなの給料も丸わかり GMO熊谷代表

NIKKEI STYLE 10/12(水) 7:47配信

 「映画で見た世界から、新しい事業がインスパイアされた」。映画事業に携わる叔父の影響もあって映画の世界に親しんでいたというGMOインターネットグループの熊谷正寿代表。一代で4900人の従業員を抱える企業集団を生んだカリスマは、「リーダーの条件は大きな夢を描き、共有する力があること」と語る。後編では、これからの事業の在り方や人材育成について聞いた。

■原理原則は、360度評価と立候補

 ――新卒だけでもグループ全体で毎年100人以上を採用していると思いますが、どのように人材育成に取り組んでいますか。
 「人材育成で一番大事なことは、教育のシステムよりも心の底から『褒める』こと、間違っていると思ったら、相手の成長につなげられるようにすぐ『叱る』こと。そして『褒める』『叱る』に加えて、仕事に『誇りを持ってもらう』ことだと思っています。この3つで人は初めて、『自走式』の働き方になります」
 「結局、人は人のいうことを聞くものではないのです。皆さん、『これをやりなさい』という育て方をされますが、私は自発的に仕事をやろうと思えるかどうかが大切だと思っています。そして、それは仕事に誇りを持てないとできないんですよ」
 ――GMOインターネットグループの評価制度、人事制度はどういうものですか。
 「我々の原理原則は、360度評価と立候補です。自ら『やる』といった人に仕事を任せる風土です。私は株主なので、役員を指名することもできますが、こちらから頭を下げてお願いした人は過去に一人もいません。『自分がやります』といった人から選んでいます。毎年何人か『役員をやりたい』という人がいるので、スタッフの前でプレゼンテーションしてもらい、役員にふさわしいかどうか、全員で点数をつけます。同様に、現役員でもふさわしくないと判断されたら外します」
■社内ポータルで役員の報酬と実績が分かる
 「我々の会社は給料もガラス張りです。全グループで89社、役員だけで100人以上います。我々はアルバイトと社員をスタッフと呼んでいます。このスタッフが社内ポータルサイトから誰でも役員の報酬と去年の実績、今年の目標を見ることができます。ガラス張りです。返上した金額まで見ることができます。GMOインターネットのスタッフは全員、給与テーブルと各スタッフ等級が開示され、見られるようになっています」
 ――なぜそこまでガラス張りにしたのですか。クレームもあるのではないでしょうか。
 「ガラス張りが一番いいじゃないですか。自分より仕事をしてないように見える人の給料が自分より高かったら、モチベーションが一気に落ちるでしょう。私はクレームを期待しているのです。『360度評価で働いていない、と評価されているのになぜ、あなたは高い給料をもらっているのか』と周囲に思われたら、本人も変わろうとするでしょう。実際、スタート当初はそうした声が上がったこともありました」
 「この仕組みは最初はデメリットが大きく出ます。社内はガタつきます。しかし、一定期間やると是正されてきます。私はこの仕組みをもう何年もやっています。自分のことを最も分かっていないのは自分ですから、誰もが『自分は仕事ができる』と思っています。しかし、360度評価で何度も同じ指摘が出たら、自分のことが分かるようになります。ガラス張りが一番いいんです。なぜどこの会社もガラス張りにしないのか。今となっては不思議です」
 ――ガラス張りにすることで、デメリットやリスクを感じる経営者も多いと思います。
 「世の中の常識は『隠す』ことでしょう。しかしそれがダメなのです。一番よくないのが、役職や給与をマネジメントの道具に使うことです。このやり方が組織を一番腐らせます。誰が見ても頑張っている人の給料を上げるべきなのです。給料のガラス張りはそのことを単純に具現化しただけの話です。この仕組みは上長にとって、『情報を握る』というマネジメントの道具を1つ捨てることになります。でも、それでいい。私がつくりたいのは自走式の組織だからです。上司のたばこに火をつける人の給料を上げるような組織は必ず滅びます。なぜなら、その人も部下に同じことをさせるからです。おべっか使いばかりのごますり型ピラミッドが生まれます。そのことを壊すためにガラス張りにしたのです」

1/2ページ

最終更新:10/12(水) 7:47

NIKKEI STYLE

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ライフスタイルに知的な刺激を。
生活情報から仕事、家計管理まで幅広く掲載
トレンド情報や役立つノウハウも提供します
幅広い読者の知的関心にこたえます。

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。