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電通新入社員自殺、「死ぬくらいなら辞めればよかった」が絶対に誤りである理由。 (後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)

シェアーズカフェ・オンライン 10/12(水) 5:34配信

大手広告会社の女性新入社員が自殺、過重労働が原因だったとして労災が認められたという。

■本件の概要とは
「亡くなったのは、入社1年目だった高橋まつりさん。労基署が認定した高橋さんの1カ月(10月9日~11月7日)の時間外労働は約105時間にのぼった。「仕事量が著しく増加し、時間外労働も大幅に増える状況になった」と認定し、心理的負荷による精神障害で過労自殺に至ったと結論付けた。

朝日新聞デジタル「電通の女性新入社員自殺、労災と認定 残業月105時間」 2016/10/07」

大変痛ましい話であり、自身も娘を持つ親としてご遺族の心情を察すれば、ご冥福をお祈りするほかない。

■「自殺するくらいなら、その前に会社を辞めればよかった」は、おかしい。
奇しくも本邦初の「過労死白書」が公表されたばかりである。先には首相自らが「モーレツ社員が否定される世の中に」と公言した最中の報道となった。

本件についてはさまざまな議論がなされているが、「自殺するくらいなら、その前に会社を辞めればよかった」という意見が多数みられた。一見正論とも捉えられそうなこの意見は妥当なのだろうか。

最初に見解を述べれば、筆者はこの意見には反対であり、明確に否定する。以下、詳細を論じたい。

■「会社を辞めればよかった」は、空しい見解だ。
「自殺するくらいなら、その前に会社を辞めればよかった」という意見についての産業カウンセラーとしてのアンサーは、「そりゃあそうかもしれないですが、心を病んでる人にそんな冷静な判断できると思いますか?」ということになる。

一般に、うつ病等の精神疾患の当時者は、病識にかけると言われる。病識とは「自分は病気である」と自覚できる状態のことだ。周囲の人間から見て明らかに正常な状態でないのに、当の本人が頑として専門医の受診を拒否する場合などは、病識の欠如が原因であることが多い。

一方、疾患により冷静な判断力や普段のパフォーマンスが平常時に比べ著しく低下するため、仕事の能率はかなりダウンし、私生活にも支障をきたすことになる。

そうなれば、当然本人も苦しい。どうにか状況を好転させようと、離婚や退職など大きな決断をしようとすることも多い。しかしながら、それらの決断は今後の人生への影響も大きい。

本来、冷静かつち密に行う必要があり、病的な状態で行うことは非常にリスキーだ。明らかにそれらの決断が必要だ、と認められるようなケースを除いては、病気がよくなってからじっくり考えた方がいいんじゃないですか、という対応が基本になる。

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最終更新:10/12(水) 5:34

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