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電通の「整備された労働環境」は、なぜ新入社員の自殺を生み出したのか? (榊 裕葵 社会保険労務士)

シェアーズカフェ・オンライン 10/12(水) 5:40配信

電通で月100時間を超える残業をしていたという新入社員の女性が昨年自殺をし、労働基準監督者がこれを労災と認定したというニュースが流れた。残業時間の長さだけでなく、上司の圧力により精神的なプレッシャーも相当にかかっていたようだ。

■電通は「人権を尊重」し「労働環境を整備」するとのことだが・・・
電通では、1991年にも若手社員が同じような過労による自殺をしてており、裁判の経過なども大きく報道されたが、また同じような悲劇が繰り返されてしまった。

なぜ、このような悲劇を防ぐことができなかったのであろうか。

この点、電通のホームページを見ると、メインメニューに「CSR」というタブがあり、ここにカーソルを合わせると「人権の尊重」や「労働環境の整備」という項目が出てきて、労働者保護に関する電通の取組が数多く紹介されている。

たとえば、「人権の尊重」のページを見ると、人権に対する意識を啓蒙するための研修を行ったり、ハラスメントの相談窓口を社内に設けたりすることはもちろん、社内のクリエーターが「人権ポスター」まで作成しているということである。

「労働環境の整備」のページを見ても、ワークライフバランスの推進や、健康管理体制の整備といった言葉が並び、「メンタルヘルス対策を強化している」ということも明記されている。本社のビル内には、内科、整形外科、眼科、耳鼻科、精神科などの診療が受けられる健康管理センターまで設置されているということだ。

■なぜ電通の福利厚生制度は機能しなかったのか
一般的な中小企業とは比べ物にならないくらい充実した福利厚生メニューが整っているにもかかわらず、過労による従業員の自殺を防げなかったのである。そして、それは今回が初めてだったのではなく、1991年に起こったのと同じことが繰り返されたわけである。

その事実を踏まえると、電通には様々な労務管理制度が整っているように見えて、それが機能していなかったのではないか、という疑問が浮かび上がってくる。

私は電通社内の詳しい事情は分からないので、電通という個別の会社に対して推測で物事は言えない。しかし、一般論としては、制度は色々と制度を整備したり施策を展開したりしても、それが形骸化してしまっているという会社は少なくないと思われる。

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最終更新:10/12(水) 5:40

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