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35%が「直属の上司を解雇できるなら昇給しなくてもいい」 ~悪いヤツほど出世する

NIKKEI STYLE 10/12(水) 16:40配信

リーダーシップ教育産業の隆盛にもかかわらず、職場は不満だらけ

 「世の中を見回すと、やる気を失った社員、不満を抱く部下、悩める中間管理職があまりに多く、その一方で、過ちを犯し、職を失うリーダーも後を絶たない」。スタンフォード大学ビジネススクールの名物教授で、経営学修士(MBA)のコースで組織と権力ついて教えているジェフリー・フェファー氏はこのように指摘する。同氏の最新刊『悪いヤツほど出世する』から、世の中に出回るリーダー論の「ウソ」を小気味よく指摘する序章を7回にわけて紹介していく。

 リーダーシップ開発にこれほどの時間と資金が投じられているにもかかわらず、職場の状況は、アメリカでも世界を見渡してもいっこうに改善されていない。やる気をなくした不平不満たらたらの社員であふれている。いくつか証拠をお目にかけよう。

 数年前、スタンフォードの同僚である経営学教授のロバート・サットンは、『あなたの職場のイヤな奴』(邦訳は講談社刊)という本を書いた。この本は多くの読者の熱烈な共感を得て、全世界でベストセラーになった。2冊買って1冊は上司のデスクにこっそり置いてやったという読者が大勢いた。自分の職場のイヤな奴にどう対処するかを学ぼうと、自分のために買って読んだ人はもっと大勢いた。

 サットンの元には、自分の職場のいじめや侮辱や圧力をことこまかに描写したメールがたくさん送られてきたという。なかには涙なくして語れないようなものもあった。サットンの本がこれほど売れ、読者からストレートな反応があったのは、よからぬリーダーがいかに多いかを雄弁に物語っている。

 そしてこのことは、データでも裏付けられている。職場のいじめ調査などでは、怒鳴る、大声で叱責する、威嚇するといった言葉の暴力が報告され、職場の雰囲気がとげとげしくなっている現状が浮き彫りにされてきた。イギリスのスタフォードシャー大学で社会人学生が行った調査では、過去にいじめを受けたことがあると答えた回答者は全体の半数にのぼった。やはりイギリスの国民保健サービスが1100人の被用者を対象に行った調査では、38%が過去1年間にいじめを受けたと回答している。

 国民保健サービスで働く看護師を対象にした調査では、看護師の44%が過去12カ月の間にいじめを受けたと答えた。またジョージタウン大学で経営学を教えるクリスティーヌ・ポラスらの共同研究によると、アメリカの被用者の10%は、職場で毎日のようにいじめを目撃しているという。回答者の約20%が、週に1回以上いじめのターゲットになっていることもわかった。

 部下をいじめるイヤな上司のいる不健全な職場で働くことは、部下にも上司にも影響をおよぼす。部下はストレスを感じ、精神的にも肉体的にも傷つく。そして、「職場でのいじめや抑圧的な雰囲気のせいで、部下の働く意欲は減退し、パフォーマンスは低下する」。そして辞めていく人が増える。

 とげとげしい職場や威圧的な上司に悩まされる部下は、当然ながら自分の仕事に満足していない。全米産業審議会の委託を受けてニールセンが行った全国調査によると、現在の仕事に満足していると答えた被用者は半分を下回る47.2%にとどまった。この調査は1987年から行われており、仕事に対する満足度は懸念すべき下降傾向を示している。初年度の1987年には61.1%だったのが、25年後には47.2%まで下がったのである。しかも、不況からの回復期に一時的に上向いた以外は、一貫して下がり続けてきた。

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最終更新:10/12(水) 19:01

NIKKEI STYLE

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