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元国立がんセンター病院長の本音「確かにダメな外科医が多すぎます」 日本の医療はどこが歪んでいるのか?

現代ビジネス 10/12(水) 20:01配信

 年に10回しか手術しない医者が「がんの専門医」に認定される。そんな医者の技術が信用できるはずがない。

 薬漬けの医療にあいつぐ手術の事故。日本の病院はどこに「歪み」があるのか? がん手術の大家・土屋了介氏と医療経済の専門家・松山幸弘氏がホンネで語り合った。

医者をチェックする仕組みがない

 松山 医療費の膨張が止まるところを知りません。9月13日に厚生労働省が発表した'15年度の日本の医療費は41・5兆円。前年度比3・8%増で、13年連続過去最高を記録しています。

 土屋 高齢化や医療技術の高度化で医療費が高くなっていくのは、ある程度、仕方がないことです。しかし、なかには「週刊現代」がくり返し指摘しているように、無駄な医療があることも確かでしょう。

 もちろん、医療というものは本来有益なものです。しかし、現代の日本ではそれが必ずしもうまく機能していない側面もあり、無駄も多い。

 松山 何が有益で何が無駄な医療であるかを判断するのは、非常に難しい問題です。

 土屋 とりわけ日本ではそうです。「この手術や薬は科学的に効果があると認められるべきかどうか」という医療の線引きが曖昧だからです。

 本来そのような線引きは、専門知識を持つ医者たちが科学的見地から行うべきですが、日本では中医協(中央社会保険医療協議会、健康保険制度や診療報酬改定などの審議を行う厚労省の諮問機関)や先進医療会議などで、官僚や一般民間人、経済学者も交じって行うのです。科学的な線引きが「素人目線」で行われているのです。

 松山 医療の現場でも日本では「評価」が行われていません。患者が受けた治療が良いものだったかどうかを判断するのは、日本の場合は主治医一人に任されてしまいがちです。客観的な視点が欠けている。

 土屋 私が理事を務めているがん研究会有明病院では、「チーム医療」を積極的に進めていますが、アメリカに比べるとまだ十分ではありません。そもそも日本全体では、このようなチーム医療を行っているところはほとんどない。

 複数の医者とともに看護師や薬剤師、技師が一緒に判断し、治療を行うのがチーム医療の本質です。しかし、日本は医者に比べて他の職種の権限が弱く、チェック機能が働かないのです。

 とりわけ大学病院はそうです。腹腔鏡手術の失敗で、多数の死者が出た群馬大学医学部がその典型でしょう。

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最終更新:10/12(水) 20:01

現代ビジネス

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