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子育て「スマホ悪玉論」は何がおかしいのか

東洋経済オンライン 10/12(水) 10:50配信

 「授乳中にスマホを見ていると、赤ちゃんが、言葉も話さない、感受性も低い、親にも愛情を感じない人間に育ってしまう」という話が出回っています。

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 これがホントなら大変なことです。

 「授乳の時に赤ちゃんの目を見てあげないと、母親の顔も覚えないし、好かれない。将来、情緒不安定な人間に育つ可能性もある。だから授乳中のスマホは悪なのです!」

 最後はずいぶん乱暴な結論で……赤ちゃんの感受性が育つ過程や顔を認識する仕組み、サイレントベビー(泣かない、笑わない、目も見ない赤ちゃん)の話に、「授乳中のスマホ」を結びつけたらしく、ネットでもよく見かける記事なのですが、もちろん根拠となる科学的な検証データは添えられていません。

■本当に必要なことは? 

 そもそも赤ちゃんがまだ授乳に慣れていない時期は、目じゃなくて「顔色」を見なきゃダメなんです。これ看護師さんが必ず言われることなんですが、最初はどの赤ちゃんも飲み方がうまくない、むせたり吐いたり、吸えてなかったり。だからちゃんと飲めてるか、窒息しかけてないか、ちゃんと「顔色」を見る、これは大切なことです。

 それがいつの間にか「目を見る」に変わり、ついでにスマホも加わり、そういう情報を見て「ウチの子は、授乳の時に目をつぶって飲むタイプなのよ、どうしよう!!」とか「ウチは見つめると集中が途切れちゃうの、もうどうしたらいいの!?」って心配になっちゃうお母さんがいるんです、可愛そうじゃないですか……。

赤ちゃんに触れ合うのは授乳のときだけではない

 お母さんが赤ちゃんと触れ合うのは授乳の時だけではありません。それに日本が貧しかった時代は、今よりもてんやわんやな環境で授乳する風景も珍しくなかったはずです。それでもみんな、ちゃんと育ってきましたよね。

 もちろん、両親が赤ちゃんと触れ合ったり、話しかけることはメチャクチャ大切、言うまでもありません。ですが、根拠不明な情報でページビューを稼いだり、とりあえずスマホ叩いておけばOK、みたいな安易な情報発信は、さすがにちょっと見過ごせません。

 特に子育て・教育の世界では、わが子を思う親の気持ちも手伝い、怪しげな情報、根拠不明のエセ科学が、もうホントに、ビュンビュン飛び交っているのです。

■ヤリ玉に挙げられるのがスマホ

 そんな膨大な情報に押しつぶされ、医療不信に陥るお母さんから、オーガニックを飛び超えてスピリチュアル方面にまで遠征しちゃうお母さんまで、なかなか大変な状態になっています。そして、たいていヤリ玉に挙げられるのがスマホです。

 以前、こんな動画が話題になりました。タブレットで遊んでいる1歳くらいの女の子。紙の雑誌を手渡したところ、ページをなでなで、印刷された文字、写真をタップ、スワイプ!  揚げ句の果てに「なにコレ、動かない! 壊れてるわ!」とあきれ顔。

 「赤ちゃん 雑誌 スワイプ」なんていうキーワードで検索すると、今でも動画が見つかります。当時これを見た人々の中には、「雑誌をタブレットだと勘違いしているのね!  まあ恐ろしい。だから子どもにタブレットなんか渡しちゃダメなのよ!」という反応も多かったんですが……私、全然ピンとこなかったんですよ。だって、不思議でもナンでもなかったから。

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最終更新:10/13(木) 9:45

東洋経済オンライン

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