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日本株、「暗黒の1987年」との共通点と相違点

東洋経済オンライン 10/12(水) 10:00配信

 いきなり不吉な話を持ち出して恐縮だが、29年前の1987年10月19日、ブラックマンデーが起きた。振り返ってみると、この年の海外投資家による日本株の売り越し額は7兆円に上った。

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 実は2016年の海外投資家による売り越し額も6兆円超に達している。だが、その日本株売りは春先に集中し、足元では縮小している。6月以降の日経平均株価は下値を切り上げつつ、9~10月と1万7000円台を回復している。そこでテクニカル面から日本株の見通しを探ってみた。

■米9月雇用統計は伸びを欠いたが質は改善傾向へ

 10月7日に発表になった9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が15万人強と市場予想よりも若干下振れた。ただ、今回の伸び悩みは想定内といえよう。「今後の米労働市場は完全雇用へ近づき、雇用者数の伸びが10万人前後へ縮小していくだろう」とイエレン米FRB(連邦準備理事会)議長も指摘している。

 一方、労働市場の質は改善しつつある。内訳をみると、平均賃金の高い鉱業が小幅に伸びている。背景として石油リグの稼働数の回復があり、エネルギー関連企業の雇用悪化に下げ止まりもうかがえる。また、特殊技能職(IT関連やエンジニア等)の賃金上昇が全体を底上げしている模様だ。

 次回、11月(1~2日)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、同月8日の米大統領選を金融市場が警戒していることもあり、利上げは見送られるだろう。もっとも11月中旬以降には、いわゆる年末商戦につながる「クリスマスラリー」が本格化することが想定される。フィッシャーFRB副議長や複数の地区連銀総裁は「12月に追加利上げの可能性が高い」と述べている。

原油先物価格は2月安値から約2倍に

 前出のように、2016年の海外投資家は日本株を6兆円超も売り越している。しかし、その売り越しペースは、原油急落となった1~3月の5兆円の売りに対し、4~9月が1兆円の売りにとどまる。「老いるマネー」と揶揄された産油国の政府系ファンド(SWF)は、年前半に財政不安の穴埋めで日本株中心に大きく売り越していたが、年後半に日本株売りも一巡しつつある。

■原油価格をめぐる「二つのサプライズ」

 足元では二つのサプライズによって、原油価格は戻り歩調を強めている。まず一つ目のサプライズが、9月末にアルジェリアで開催された国際エネルギーフォーラムだ。石油輸出国機構(OPEC)の臨時総会であったものの、サウジアラビアから8年ぶりとなる減産に向けた方向性が打ち出された。OPEC加盟14カ国の原油生産量の上限を1日あたり3250万~3300万バレルとすることで合意、最大で70万バレルほど減らすことを決め、非OPECのロシアなどに協調するように求める方針を示していた。

 二つ目のサプライズが、10月10日にトルコのイスタンブールで開催された世界エネルギー会議。そこで、ロシアのプーチン大統領が「OPECの減産合意や産油量の据え置きに対し、ロシアも増産凍結もしくは減産に協力する」との踏み込んだ意向を示した。この発言を好感し、WTI原油先物が約4ヵ月ぶりに51ドル台まで戻している。

 しかし、テクニカル面からみるとWTI原油先物の年間騰落率は2015年が30%安に対し、2016年はすでに38%高に達している。また、長期投資家の売買コストとされる200日線(41ドル台)に対しても、+23%も上放れている。さらに今年のWTI原油先物は2月安値26ドルから10月高値51ドル台へ約2倍まで大きく反発している。

 こうして見ると、今後の原油価格がもう一段高くなるには、11月30日にウィーンで開催されるOPEC定例総会で正式に減産合意し、各論を協議していくことが必要となるだろう。

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最終更新:10/12(水) 15:15

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