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恐怖の学生寮 最後の秘境「東京藝大」探検記(5)

デイリー新潮 10/12(水) 6:30配信

「藝大は貧乏だ」と口にする方も多い。

「でも、生えている木が凄く太いから、いいと思う」

 とは、『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』の著者、二宮敦人氏の奥様の弁。奥様は現役の東京藝大生である。たしかに設備も木も“老朽化”しているのは伝統の裏返しともいえる。ただし、そこは東京藝大、二宮さんは取材の中で恐怖のエピソードを知ることとなった。

■アリ、クモ、ハエ、そして……

「藝大の石神井寮はボロです。ほんとボロです」

 かつて入寮していた学生が、その恐怖を余すところなく語ってくれた。外から見るだけでも廃墟と見まがうほど古い建物なのだが、中はより凄いというのだ。

「とにかく虫がいるんです。お風呂場に、アリの行列ができてるんですよ。お湯で流しても、また翌日には行列ができてて。練習室にはクモも出ますし。あと、梅雨時になると毎年あり得ない数のハエが! もう、大発生するんです。それからゴキブリ。ゴキブリはとにかくたくさん見ました」

「恐ろしすぎますね」

「ゴキブリ怖いんで、私たちは別の名前をつけてました。『クロコガネムシ』って。そうして少し、恐ろしさを減らしてましたね……」

 根本的な解決になっていない。

「あと、共同のキッチンや、テーブルもあるんですけどね、何というか蓄積された汚さがあって。テーブルには誰のものかもわからない鍋や食器が積まれていて。冷蔵庫からは、粘土みたいな色になったレモンが出てきたり……賞味期限がとっくにきれたアセロラジュースがぽたぽた垂れてたり……」

「掃除をしないんですか?」

「する人が少ないのかな。私、もう嫌だってなって、友達と一緒に掃除したことがあるんです。テーブルの上も磨いてピッカピカの真っ白にして、これで明日からここでご飯が食べられる! って」

「おお!」

「そうしたら……翌日、テーブルの上にいっぱい、色んな虫が落ちて、死んでて」

「え、何故ですか、それ……」

「わかりません。急に綺麗になったから、ショック死でしょうか……それとも洗剤のせいかな……とにかく、結局その日もご飯はテーブルで食べられませんでした」

 ホラー小説みたいだ。

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最終更新:10/12(水) 6:30

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