ここから本文です

まるで「日本製の高性能テレビリモコン」 マイクロソフトはなぜ復活できたのか?

NIKKEI STYLE 10/13(木) 7:47配信

 日本マイクロソフト会長の樋口泰行氏。普通のサラリーマンだったという同氏は、米国留学を経て3つの会社の経営トップを経験、プロの経営者の先駆けとなった。外資系のIT(情報技術)企業のほか、再建の渦中にあったダイエーなど流通大手も率いた。激しく経営環境が変化するなか、リーダーには何が求められるのか。樋口氏の連載6回目はマイクロソフトを例に、“自省力”に基づく改革と新しい“生態系”を生み出す戦略について語る。

■今までの経験・認識だけでブレークは生まれない

 胸がすく、スポーンとはまるというように着実に成果を生み出す戦略がある。そういう戦略を、「美しい戦略」と言うならば、そこにはどのような要素が盛り込まれているのだろうか。
 例えば、米アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」の成功は、音楽配信サービス「iTunes(アイチューンズ)」との両輪でもたらされた。音楽配信サイトと連携することでたくさんの音楽を気軽に楽しめる“生態系”を生み出した。それは本当に見事としか言いようがないほどに明確で分かりやすく、受け入れやすい美しい戦略だった。
 しかしさらに美しい戦略とは、参入障壁をどれだけ創り得ているかだろう。例えば、事業展開のスピードが猛烈に早く、そのスピードに他社が追いつけないのも一つの障壁ではある。しかし、速く走ることだけが参入障壁となっている場合は、その会社なり事業は必ず息切れする。
 速く走っても息切れを起こさず、疲れることもない別の参入障壁があれば、これはさらに美しい戦略だ。マイケル・ポーターの『競争戦略』風に言えば価格、差別化、集中化などが明確に認識され、明確な方針が示されている戦略は美しい。
 同時にこれは、美しい戦略づくりは、自身の強さをどのように認識しているかと深く関わっていることを示している。
 ただ強さの認識には注意が必要だ。念頭に置いておかなければならないのは「自分が強い専門分野とは、すなわち自分が経験してきた分野であり、その強みを生かそうとすると必ず過去に固執してしまう」という宿命のような傾向があることだ。新しい発想が求められているのに、強さに固執してしまい逆に強さを発揮できないジレンマに陥る。この流れを避けることは非常に難しい。
 そこで一旦、自らの強さから離れてみる。ないしは自分とは違う強さを持っていたり、違う方法で成功したりした人から学ぶ機会をつくり、結果として自分の世界を検証したり広げたりする作業をしない限りは新しい物の見方、新しい方針などは出てこない。今まで生きてきた生態系だけの経験、認識だけでは戦略には結び付いていくためのブレークは起きえない。

1/3ページ

最終更新:10/13(木) 7:47

NIKKEI STYLE

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ライフスタイルに知的な刺激を。
生活情報から仕事、家計管理まで幅広く掲載
トレンド情報や役立つノウハウも提供します
幅広い読者の知的関心にこたえます。

Yahoo!ニュースからのお知らせ

なぜ今? 首相主導の働き方改革