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国際市場の「10月危機」 中国リスクの懸念は?

マネーポストWEB 10/13(木) 16:00配信

 中国の建国記念日「国慶節」の大型連休中に起きた最大の“事件”は、各地で不動産コントロール政策が発動されたことであろう。

 9月30日から10月6日にかけて、わずか7日で、南京、厦門、深セン、蘇州、合肥、無錫、天津、北京、成都、鄭州、済南、武漢、広州、仏山、南寧、珠海、東莞、福州、恵州など19都市で不動産価格コントロール政策が発動された。9月下旬に発表された杭州、南京を加えれば、すでに21都市でコントロール政策が発動されている。

 9月19日に発表された8月における70大中都市住宅販売価格変動状況調査では、前月と比べ64都市で価格が上昇しているが、上昇率の高い都市において、軒並み政策が打ち出されている。

 いずれも、一般世帯が複数の住宅を購入するのを防ぐための政策である。社会全体に蔓延する投機は深刻である。さらに、悲観的な見方をすれば、当局は金融引き締め政策を発動しかねない。

 8月の経済統計、9月のPMI(製造業、非製造業)の動きなどを見る限り、景気は緩やかに回復基調にあるが、中国経済にはリスク要因がある。

 それは、まさに、不動産バブルに代表される資産価格の上昇であり、また、経済全体のレバレッジが大きいことである。個人は多額の借金をして不動産を買っており、銀行は理財商品販売を利用したBIS規制(国際業務を行なう銀行の自己資本比率に関する統一基準)逃れの資産規模拡大が問題となっている。企業は成長性を重視した攻めの経営を続けており、負債が過大である。

 こうした点に対して、一貫して強い警戒感を抱いていたのは欧米系の機関投資家である。だから、彼らが今回の不動産価格コントロール政策について、どのように評価するのか大いに注目されたのだが、結果はやや拍子抜けの内容となった。

 9月30日と10月7日の終値を比較すると、香港ハンセン指数は2.4%上昇、H株指数は3.6%上昇している。

 不動産セクターは当然、大きく売られた。しかし、そのほかの大半のセクターが買われたから全体相場は強かった。本来なら悪材料ととられかねない原油先物価格の上昇も、コストの上昇でなく、製品価格上昇ばかりが評価され、石油開発、エネルギー、化学セクターなどが大きく上昇したのである。一言でいえば、欧米系機関投資家にとっては中国リスクよりも、中国期待が強いといえよう。

 それは本土投資家についても同じである。休場明けで10日ぶりの取引となる10月10日の上海総合指数は1.45%上昇した。不動産セクターは売られる銘柄が多かったものの、上昇した銘柄もあった。休場中の香港市場と同様で、大きく買われるセクターが数多くあった。

 不動産価格を抑制しようとする政策は中国経済にとってプラスとなる政策である。供給側改革についても中国経済の質を良くするための政策といえる。足元の景気に対しては抑制的な政策だが、中国経済の長期的な発展を促す政策であり、後者をより重視する投資家が多いのであろう。

 国際市場では「10月危機」が叫ばれるなど、見通しが不安定だ。アメリカ大統領選挙の結果、ドイツ銀行の経営不安、EU、日本経済の動向や、各国の金融政策の有効性など、懸念材料は多い。しかし、中国リスクについては当面、大きな問題として浮上する懸念は少ないかもしれない。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週間中国株投資戦略レポート」も展開中。

最終更新:10/13(木) 16:00

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