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FRBの9月FOMCのMinutes-Close Call

NRI研究員の時事解説 10/13(木) 9:15配信

はじめに

今般公表されたFOMC(9月)の議事要旨について、米欧メディアの間では「比較的早期(relatively soon)の利上げを予想」という表現を抜粋して、hawkishな内容を示唆する報道が目立つ。しかし、議事要旨を全体としてみれば、本会合での議論はバランスの取れたものであったことに加え、メンバーの意見の相違が依然として深いことが改めて確認される。

金融経済情勢の判断

FOMCメンバーも、当面の金融経済情勢自体に関しては大きな意見の相違はないようだ。

つまり、雇用と所得、資産価値の拡大や、バランスシートの改善、マインドの強さといった要因に支えられた個人消費が、主たる牽引車になるとの見方が概ね共有されている。また、設備投資についても、外需の弱さや各種規制の先行きに関する不確実性といったマイナス材料はあるが、鉱業(原油掘削)セクターの回復によって明るさが出てきたとの見方が示されている。さらに、GDPの観点ではマイナス寄与の続いた在庫投資がプラスに転ずるとの予想も示されている。もっとも、海外経済は、年初に比べて状況が改善したにも拘らず、引続き、先行きのダウンサイドリスクの源泉とされている(11ページ第4パラグラフ)。

これに対し、デュアルマンデートの要素である労働市場と物価については、依然として意見の隔たりが大きい。

まず、労働市場については、今後数年にわたって失業率が長期の“normal rate“を下回って推移するとのメインシナリオが概ね共有されている。もっとも、労働のslackについては、雇用増加ペースの鈍化や緩やかな賃金上昇を根拠にほぼ解消したとの見方と、依然として弱い賃金上昇や高水準のパート雇用、労働参加率の最近の上昇を根拠になお残存するとの見方が併記され、ともに数名(some)の意見とされるなど、拮抗したバランスとなっていることが示唆される。

インフレについても、中期的に2%目標に向けて上昇していくとのメインシナリオで概ね一致している。しかし、コスト上昇圧力の欠如、雇用に対する賃金の感応度の低さ、インフレ期待の低下の可能性、slackの存在などの要素が、引続きインフレを抑制するとの見方が数名(several)のメンバーによって示されている。これに対して、サーベイベースのインフレ期待は概ね安定しているとの見方も示されている(11ページ第5パラグラフ)。

その上で、失業率が長期の“normal rate“を下回っている点の意味合いが提起され、多数(a number of)のメンバーが、今後数年にわたって利上げを行っていくことに同意を示している。もっとも、少数(a few)のメンバーは、過去にこうした状況が出現した場合に、その後の急速な利上げによって失業率の大きな上昇を伴うリセッションに陥った事実に言及し、利上げの不適切な延期によるリスクを示唆した。これに対し、他の数名(some others)のメンバーは、現在のインフレ率やインフレ期待はともに比較的低位であるほか、労働参加率の上昇が示唆するように真の“normal rate“がより低い可能性がある点などを挙げて、過去の経験はrelevantではないと反論した(12ページ第1パラグラフ)。

この間、低金利の継続に伴うもう一つのリスクとされる過剰なリスクテイクについては、少数(a few)のメンバーが非金融法人によるレバレッジ拡大の問題に言及した点が記載されているが、議事要旨の前半に示された執行部の認識や、これまでの議事要旨に比べて、プレゼンスが少ない印象を受ける。

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最終更新:10/13(木) 9:15

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