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生みの苦しみ続く国産旅客機MRJ、三菱は「ダイヤモンド」の挫折を超えるか?

NIKKEI STYLE 10/13(木) 14:40配信

すでに400機超を受注

 14回目となる国内航空宇宙産業の展示会「2016年国際航空宇宙展(JA2016)」が12日、東京ビッグサイト(東京・江東)で開幕した。今回は31カ国・地域から過去最大の792社・団体が参加。初日には三菱重工業の大宮英明会長が「日本の航空宇宙産業~半世紀ぶりの国産旅客機を開発して」と題して、子会社の三菱航空機(愛知県豊山町)が開発を進める国産初のジェット旅客機「MRJ」の進捗状況などについて講演した。

 大宮会長は冒頭、自らが技術者として開発に携わった「CCV(運動性能向上)研究機」が1983年に初飛行した際のビデオを上映し、機体の電子制御に失敗したことに触れて「物理法則は決してだませない。この飛行試験以来、ものづくりは真摯であることが一番大切であると思い続けている」と強調。MRJについては、「私たちは50年ぶりの国産旅客機の開発を必ずや成功させる」と力を込め、航空宇宙部門出身者としての思い入れをにじませた。

 MRJは座席数70~90席、航続距離約1800~3700キロメートル。国内線や近中距離の国際線などでの運航を想定する「リージョナル機」だ。米プラット&ホイットニー(P&W)の最新鋭エンジンを採用するなどして、従来機に比べて燃費性能を2割向上したのが特徴。2015年11月に初飛行した。

 初号機を導入するANAホールディングスをはじめ、日本航空や米スカイウエストなど、これまでに約430機(キャンセル可能なオプションなどを除く確定分は約230機)の受注を獲得。大宮会長は「開発中にこれだけ多くの受注を得ており、日本の技術と当社への期待の高さを感じている」とする。

まずは1000機以上を目標

 リージョナル機は世界で今後20年間に約5000機の需要が見込まれる。このうち、MRJに相当する70~90座席級の需要は3500機程度と見られており、三菱航空機の堀口幸範副社長は「まずは1000機以上を目標として、このクラスで40%以上のシェアを狙いたい」と話す。

 成長市場であることに加え、MRJの部品点数は1機あたり100万点と、自動車の約30倍に上るだけに、「航空機産業は製造業の頂点に位置する付加価値の非常に高い産業」(大宮会長)として、大きな波及効果が期待されている。

 ただし、開発は遅れている。ANAがMRJ導入を決めた08年当時は13年の就航をめざしていた。しかし、設計の見直しなどをたびたび迫られ、これまでに4回、納期延長を繰り返してきた。初号機引き渡しは18年半ばを予定するが、5回目の延長もささやかれ、引き渡しが19年以降にずれ込む可能性も指摘される。

 MRJの開発費はすでに当初計画の2倍を超える3000億円規模に上るという。開発が遅れればそれだけコストが膨らみ、1機47億円ともされる価格に上積みされることになる。

 リージョナル機の大手、ブラジルのエンブラエルもMRJと同じクラスの新型機を開発中。MRJと同じタイプのP&W製最新鋭エンジンを搭載するため、高い燃費性能というMRJの優位性も色あせかねない。

 こうした開発遅延による影響について、三菱航空機の堀口副社長は「既存顧客ともコンタクトをしっかり取っており、大きな問題はない。新規顧客開拓についても、同様に大きな影響は出ていない」と話す。

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最終更新:10/13(木) 15:55

NIKKEI STYLE

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