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チャット×ねごと×女王蜂『地獄大運動会』、新体制「メカットモンチー」も飛び出した勝負の行方は?

リアルサウンド 10/13(木) 17:10配信

 東京・Zepp DiverCityで9月29日、イベント『私立 聖お台場女学院 地獄大運動会』が開催された。チャットモンチー、ねごと、女王蜂の3組が、秋に開催するライブということで「地獄」と「運動会」をテーマに企画。オリジナリティー溢れるユニークなイベントとなった。

 3組は「私立 聖お台場女学院」の代表生徒として「地獄の校長」でありMC役の芸人・ハリウッドザコシショウ、「地獄の体育教師」で同じくMC役のバイきんぐ西村瑞樹のもと、“競技”という名のライブを行い運動会の優勝を目指すという趣向だ。

 ステージには閻魔大王が描かれた巨大なバックドロップ、運動会の入場曲「軍艦行進曲」が流れ、普段のライブとは違った雰囲気に会場には異様な空気が漂っていた。チャイムが鳴り西村、そしてザコシシショウが下手から奇声を上げながらゆっくり登場。「プログラム1番」である「本校オリジナルラジオ体操地獄ミックス」をザコシショウが披露した後、ライブ本編に突入した。

 「プログラム2番」として「女王蜂」がアナウンスされると会場にはお馴染みの『新世紀エヴァンゲリオン』の使徒襲来時のBGM「DECISIVE BATTLE」が鳴り響き、ステージ照明が真っ赤に変わった。まずは、やしちゃん(Bass)、ルリちゃん(Drum)、ひばりくん(Guitar)、サポートメンバーのみーちゃん(Keyboard)が登場し、ジャジーな「金星」をプレイ。最後に歓声と拍手に迎えられながらアヴちゃん(Vocal)が現れ「地獄へようこそ!」というセリフと共にそのまま「金星」をワンハーフ歌いきり、続けてスネアドラムの特徴的なイントロに会場がワッと沸く。アヴちゃんが歌い出したのはチャットモンチーの「ハナノユメ」。力強いボーカルとキーボードで奏でられる主旋律が何とも新鮮だ。続けて演奏したのはねごとの「カロン」。アヴちゃんは地声とファルセットを巧みに使い分けるボーカリストだが、その発声法が存分に活かされた女王蜂らしい「カロン」を聴くことができた。それらを披露した後、アヴちゃんが「私たちが初めてコピーした曲が『ハナノユメ』なんです。『恋の煙』に限っては文化祭でもやりました」とファンを驚かせ、当時バンドメンバーが仲間割れを起こし、ベースのやしちゃんが「私、木魚やるわ」と「恋の煙」に“木魚パート”を入れて披露したことを明かし、会場の笑いを誘った。

 アヴちゃんのドスの効いた叫び声とバンドの轟音と共に始まったのは「ヴィーナス」。女王蜂の楽曲きっての4つ打ちダンスナンバーに、フロアはファンが揺らす「ジュリ扇」で色鮮やかに染まっていく。ファルセットと地声を交互に入れ替えるセンチな楽曲「売春」、続く「デスコ」では尖ったバンドサウンドと雄叫びにも似たアヴちゃんのボーカルがフロアに響き渡る。ラストはねごとのメンバーが一番好きな曲だという「告げ口」。童謡「かごめかごめ」の歌詞とメロディをメロディアスかつ豪快なバンドサウンド、アヴちゃんの狂気的なボーカルで会場の空気を一変させ拍手喝采の中、女王蜂はステージを去った。

 女王蜂のパフォーマンスの余韻の残る中、ステージに登場したのは3組の中ではもっとも先輩であるチャットモンチー。バンドは、9月5日に「チャットモンチー変身のお知らせ」として「メンバー2人とデジタル楽器」の編成へと変身することを発表。9月10日には岐阜県にて行われたフェス『中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2016』で初の新体制ライブを披露していた。今回、都内で新体制編成でのライブを行うのは初めてのこと。低音ビートとポップなエレクトロサウンドが響き渡る中、橋本絵莉子、福岡晃子の2人が登場。下手の福岡の周りには、ドラム、キーボード、MacBook、上手の橋本の周りにはエレキギター、キーボード、スネアドラムが並ぶ。ビートは打ち込みのまま、福岡がキーボード、橋本がギターで「変身」のメロディーラインを弾き始めると会場には歓声が上がった。

 チャットモンチーは、かつて3人体制から2人体制になった際、ループステーションでギターのトラックを記憶させ、旋律を増やしパフォーマンスしていた。今回の新体制で大きく変化したのは、新しい機材にMacBookを使用していること。現体制を2人は「チャットモンチー・メカ(仮)(通称メカットモンチー)」と称していることもMacBookでの打ち込みが新機軸にあることを象徴している。言わずもがな「変身」を1曲目に持ってきたのは新体制を表しているのであろう。この日披露したのは、group_inouによるリミックスバージョン「変身(GLIDER MIX)」。ライブ前日の9月28日にgroup_inouは活動休止を発表しており、group_inouのラップ歌詞を2人が歌っている姿はなんとも胸を締め付けるものがあった。「8cmのピンヒール」では福岡がドラムを担当し、続く「飛び魚のバタフライ」では陽気な打ち込みビートに乗せ橋本がアコースティックギターをかき鳴らす。この2曲では、これまでに聴いたことのなかったコーラスや歌い方のフェイクが導入されていたことも特筆しておきたい。

 「後で宣伝する曲を今からやりたいと思います」と福岡の斬新な曲紹介より披露されたのは、医療・福祉の専門学校 首都医校・大阪医専・名古屋医専TVCMソングとしてもオンエア中の新曲「majority blues」。橋本のエレキギターと福岡のドラムのみという音数は少ない楽曲であるが、サビの最後で歌われる<あなたを守る人は私>などメッセージ性の強いミディアムチューンだ。「後輩の曲カバーしたいと思います」と橋本がつぶやき演奏しだしたのは、女王蜂の「売春」。ツインボーカル、ツインキーボードという特異な編成には驚きを隠せずにはいられなかった。続いて、“妹の曲”として披露したねごとの「ワンダーワールド」では橋本のアコースティックギターと柔らかなボーカルが光る。ブルーノ・マーズの「Marry You」のカバーでは楽曲後半にて橋本が見事なスネアドラムテクを見せつけ会場は拍手喝采に。橋本はよほど緊張していたのか数回ガッツポーズを決め「よかった~」と安堵の胸をなで下ろし、福岡から「正直今のが一番練習してましたね(笑)」と明かされる一幕も。ラストは、激しいビート音とノスタルジックなギターサウンドがアクセントの「親知らず」を演奏し“妹”と慕うねごとにバトンを渡した。

 トリを任されたねごとは、初っ端からシングルタイトル曲「DESTINY」、バンド初期からの楽曲「カロン」を披露し、会場の熱をグングン上げていく。藤咲佑(Bass)による歪んだベースイントロが会場に鳴り響くと蒼山幸子(Vocal/Keyboard)が「それでは私たちも2組の曲をやってもいいでしょうか!?」と宣誓し、チャットモンチーの「Last Love Letter」へ。伸びやかな歌声で会場を魅了すると、続けて先ほど女王蜂も披露した「ヴィーナス」をプレイ。女王蜂のエキゾチックなバンド要素がねごとのサウンドに乗っかり、蒼山のボーカルもアヴちゃんを意識したように聴こえた。

 蒼山は後輩にあたる女王蜂について、自分たちのバンドのツアーに同行しホテルでパジャマパーティーを開いたこと、先輩のチャットモンチーについては「おこがましいんですけど、よく『えっちゃんに似てるね』って言われていて自分でも似てるんじゃないかと思っていたら、さっき楽屋で(橋本に)『やっぱり似てるよな』って言われて『やっぱり思ってたんですね』っていうので意気投合して」と楽屋で橋本と心が通い合ったことを嬉しそうに話していた。バンドの新たなアンセムの予感がする新曲「アシンメトリ」では蒼山がワイヤレスMIDIコントローラーOrbitを操作しサウンドの幅を広げていく。スペーシーかつバンドの熱量が最高潮に達した「シンクロマニカ」、ラストの「endless」ではライブバンドとして貫禄のあるステージングを見せつけイベントのトリを務め上げた。

 ライブ終了後、ステージにはザコシショウ、西村の2人と3組が再び登場。西村よりここまでの得点は同点であり、次の競技の結果によって勝敗が決定することがアナウンスされた。最終競技は「玉入れ」。会場の客席頭上に吊るされた3つの籠にファンが玉を投げ入ていく。どの籠がどのバンドのものかは結果発表の際に分かるという仕組みだ。競技終了後、籠の玉数を60までカウントするも投げ続けるのが辛いとの理由から、女王蜂とねごとがチャットモンチーの籠に自分たちの玉を入れ、先輩を立てる形でチャットモンチーの優勝となった。西村からイベントの感想を聞かれたアヴちゃんは、「この歳になって運動会をするなんてね。ソニーの事務所の会議室で3組で話し合って。苦肉(9月29日)の日に何やったら面白いかな、運動会と思って。最後まで観てくれて、玉入れなんて普通してくれません」と競技に参加してくれたファンに感謝の気持ちを伝え、チャットモンチーの福岡は「後輩って素晴らしいなって、今日身に染みました」とコメント。チャットモンチーには、後日「J:COMプレミアチャンネル」にて放送となるライブの特別番組内での「J:COM特別放送枠」が与えられた。

 ライブの帰路、ふと『若若男女サマーツアー』のことを思い出した。2006年から2008年の3年間にわたり開催されていたシュノーケル、チャットモンチー、Base Ball Bear、3バンドによるスプリットツアーだ。「3組」ということ、「アーティストが企画・制作」していることが『若若男女』を彷彿とさせた要因のように思うが、今回の『地獄大運動会』も『若若男女』のように続いていけばいいと願わずにはいられない、そんなイベントだった。

渡辺彰浩

最終更新:10/13(木) 17:10

リアルサウンド

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。