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製造業がコモディティ提供者に成り下がらないために

JBpress 10/13(木) 6:00配信

 IoTはビジネスの様々な領域での活用が検討されているが、製造業はIoTを活用した外部へのサービス提供が苦手である。

共創とPoCの図。

 IoT活用ビジネスによる顧客密着競争において、製造業がコモディティ化したハードウェアの提供者に成り下がらないための解決策について、事例を交えながら紹介する。

■ IoT活用の全体像

 IoTをビジネスに活用するのは、(1)内部の業務の改善・効率化、(2)自社の製品・サービスの効率化・高度化、(3)顧客への新規のサービス提供の3つの目的がある。

 (1)の内部活用は、例えば開発業務にデジタル化された顧客の声を活用したり、工場の生産業務をデジタル化し、品質改善や歩留まり改善につなげることなどが想定される。コストダウンやスピードアップなど効果が見通しやすいことから投資も容易で、開発・生産・調達・販売など引き受け組織が明確であり、社内プロジェクトとして進めやすい。

 (2)の自社の製品・サービスの効率化・高度化は、例えば火力発電所、航空機エンジン、大型医療機器の運転情報、予防保全、故障原因分析などがある。こちらも製品・サービスの効率化と高度化が結果となり、自社だけが実施していない場合の競争力低下を想定すると、戦略上実施しなければならない。

 技術要素(センサー、通信方法、アルゴリズムなど)と収益モデル(無償、有償、有償なら定額、従量課金、成果報酬などの価格形態の別)を決めなくてはならないが、あくまでも既存の製品・サービスのアップグレードのため、既存組織の枠組みに収まりやすく推進上の課題も多くない。

 一方で、(3)の顧客への新規のサービス提供については、上記(1)、(2)と比較して、機能部門や事業部門の引き受け主体が不明確で、サービスとしての効果検証も済んでいないことから投資を進めにくく、実施主体となる組織も不明確である。

■ 第3領域は顧客密着への異種格闘技戦

 IoTにより様々な活動がデジタル化されると、これまで把握することが難しかった詳細でリアルタイムな顧客ニーズの把握が可能となる。このような顧客ニーズが得られるようになると、これまで気づかなかった新たな顧客サービスが生み出されるようになる。

 このような世界では、顧客接点や得られた顧客データを持つ企業が、他社に比べてより優位に様々なサービスを着想、提供しうる。また、既に顧客に対して提供中のプラットフォームを保有する既存プラットフォーマーも、顧客に対して優位にサービスを提供することが可能である。

 ビル建物領域での事例は、既存プラットフォーマーの進出では、GoogleによるNest社の買収によるスマートホーム市場への参入。顧客データの活用の観点では、ジョンソンコントロールズ(Johnson Controls)社やハネウェル(Honeywell)社が提供する、ビルディング・オートメーション・システム(BAS: Building Automation System)が収集するデータを活用したサービス。顧客接点ではファシリティーマネジメント会社(FM会社)によるサービスの拡大が挙げられる。

 伝統的には、FM会社は清掃、警備、ケータリングなどを行っていたが、電気設備の保守が可能な電気工事会社や省エネルギーサービスを行う会社を買収するなどして、自らの事業領域を拡大している。FM会社は、顧客にできるだけ多くのサービスを提供しようとする動きで、既存プレイヤーとの新たな競争を引き起こす。このような中で重要となるのは、できるだけ密に多く顧客との接点を持ち、その業界に詳しくなるということである。

 現在、FM会社は省エネサービスを進めるために、照明や空調システムの更新を提案している。このように、顧客に対しての価値の提案を顧客接点保有企業が持つようになると、設備メーカーはそのサービス会社の要望に従った製品を製造・販売するようになる。その結果、独自の製品の開発余地が少なく、製品はコモディティ化して価格競争に陥りやすい。

 このように、顧客接点を軸に、バリューチェーンの川上や異業種からの割り込みが多発し、これまでの業界秩序の中での競争が崩れ、まさに異種格闘技戦の様相を呈するIoT競争時代に突入する。

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最終更新:10/13(木) 6:00

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