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トヨタとスズキ・提携の狙いと「裏事情」 「創業家同盟」誕生か!?

現代ビジネス 10/13(木) 7:01配信

生き残りのための選択

 トヨタ自動車の豊田章男社長とスズキの鈴木修会長は12日、共同記者会見を開き「両社の協力関係の構築に向けた検討を開始する」と発表した。

 会見では両首脳から提携内容の詳細は説明されず、「まだお見合いの段階」(豊田社長)だとして、環境や情報技術などでの業務提携を検討し、これから具体的に何ができるか話し合うとの方向性が示されたに過ぎないが、今後、両社の提携はトヨタがスズキを傘下に収める資本提携に発展する可能性が高い。
 
今回の提携に向けての検討は、鈴木修会長が今年9月初め、豊田社長の父の豊田章一郎名誉会長と会って、「良品廉価のための車づくりなど自動車産業の伝統的な技術を磨くだけではこれからの自動車産業では生き残れないので、トヨタさんのご協力をいただけないか」(鈴木会長)と打診したことから始まったという。

 スズキの経営規模では自動運転などの次世代技術の開発投資には耐えられず、こうした分野では他社の技術協力がなければ生き残れない状況にある。 

 鈴木会長と豊田名誉会長は年齢も近く、これまでにも定期的に食事などをする関係にあるうえ、創業家の看板を背負った者同士として馬が合う関係にあった。インド市場に強く、安い軽自動車を効率的に造るノウハウに長けたスズキは業績も安定しているが、自動運転や燃料電池車などの次世代の技術では後れを取っており、生き残りに一抹の不安があった。

 しかも「カリスマ経営者」「タヌキおやじ」と呼ばれる、海千山千の鈴木会長は高齢なうえ、長男で後継者の鈴木俊宏社長が経営者として線が細いため、鈴木会長は自分がいなくなった後のスズキの経営に不安を覚えていたとされる。

 さらに鈴木会長は昨年末から今年初めにかけて肺炎をこじらせて入院、体力の衰えが目立ち始めていた。こうした点からはスズキが将来の生き残りのためにトヨタに助けを求めたとも見て取れる。

 記者会見では鈴木会長は「あらかじめ決まったことはない」と答え、これから何ができるのか検討していくことを重ねて強調したが、「今後の資本提携はあるのか」の問いに対しては、「ゆっくり考える」と答え、否定はしなかった。

 鈴木会長は記者の質問をはぐらかすのは得意だが、意外と本音をぽろりと漏らすこともある。自分がいなくなった後のことを考え、トヨタに後ろ盾になってもらうために、トヨタからの資本の受け入れも十分に検討する、ということだろう。
 
一方トヨタも他社との提携戦略が苦手なため、自社の技術を世界に広めていく標準化戦略が弱点だった。その一例が、トヨタが誇るハイブリッド技術は優れていても、それを使う自動車メーカーは少なく、むしろ世界の潮流は電気自動車に傾きつつあったため、虎の子のハイブリッド技術が「ガラパゴス化」に陥る危機に直面していた。燃料電池車も同様の課題を抱えていた。

 こうした中、世界で286万台の販売規模を持つスズキが「仲間」に加われば、標準化競争で利点になると判断、両社の利害関係が一致した模様だ。
 
さらに、トヨタはスズキのライバルのダイハツ工業を完全子会社化して上場を廃止し、トヨタの一部門としてダイハツのリソースを活用する戦略に打って出た。今後も成長が期待できる新興国向けの小型車の開発はダイハツに委ねる方針だ。トヨタがダイハツを完全に支配したという関係の変化も、スズキからの提携打診を受け入れやすくしたと見られる。

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最終更新:10/13(木) 14:31

現代ビジネス

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