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北朝鮮が盛大なエアーショーを挙行したワケ

東洋経済オンライン 10/13(木) 9:00配信

 北朝鮮では数少ない国際観光イベントが9月24、25の両日、日本海側の都市・元山市で開かれた。このイベントは北朝鮮では初の「エアーショー」となる「2016元山国際親善航空祝典」。観客数などは発表されていないが、北朝鮮国内はもちろん、欧州など世界数十カ国からも多くの観客を集めた。元山市から1万5000人、海外からは日本人を含む約1000人が訪れたという。

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 元山市は平壌から200キロメートル、車で約3時間かかる。開催地は、開港したばかりの元山葛麻(カルマ)国際空港。空軍基地から2014年に軍民共用となり、2015年9月に新ターミナルが供用されていた。ボーディングブリッジは2基、3500メートルの滑走路を持ち、出入国などCIQ(税関・出入国管理・検疫)設備も兼ね備えた国際空港だ。

■軍民ともに”初めてづくし”

 エアーショーでは、北朝鮮人民軍で主力戦闘機となる「ミグ21戦闘機」や「ミグ29戦闘機」などの軍用機と、北朝鮮唯一の民間航空会社である高麗航空が保有する「ツポレフTu-134型機」や「ツポレフTu-154型機」など、軍民合わせて十数機あまりが飛行。航空マニアや一般観光客を楽しませた。

 人民軍空挺部隊によるパラシュート演技や、観光客が参加したスカイダイビング競技なども行われた。実際に飛行する機体数が少ないため、観客からはやや退屈と感じることがあったが、内容自体は他国のエアーショーとそれほど遜色のないものだった。

 特に観客が沸いたのは、北朝鮮で初の女性戦闘機パイロットとなったチョ・クムヒャン、リム・ソル両飛行士が操るミグ21型機による曲芸飛行。一昨年、昨年と、北朝鮮の最高指導者である金正恩・朝鮮労働党委員長から面談された経歴もあり、飛行後には記念撮影を求める多くの人たちが集まっていた。

力の入っていた広報・集客活動

 会場がある元山市は、2013年3月に開催された党中央委員会全員会議で、同市と近隣の一大観光地である金剛山地区一帯を国際的な観光地区として開発すると、金委員長自らが打ち出した場所だ。

 2013年6月には、元山・金剛山国際観光地帯を設置することが最高人民会議常任委員会で決められ、空港をはじめインフラ整備に力が入れられていた。また、元山港はかつて、日本の新潟港と同港を結ぶ旅客船「万景峰92号」の母港でもある。

■金委員長が観光都市づくりを指令

 今回のエアーショーは、元山市にとっても初めてと言って過言ではない国際的観光イベントであり、前述した国家方針に沿った行事として力が入っていた。

 事前には英文のホームページも作られ、イベント内容や入国手続きの説明、付帯イベントの紹介、周辺観光地など、北朝鮮にしては手の込んだホームページを作成しており、広報・集客に余念のない姿勢も見せていた。

 特に、今回のエアーショーを観覧するため、北朝鮮国内の観光客が大勢いたことが目を引いた。午前9時の開催時刻前から、観覧スペースには大勢の団体客が陣取り、ショーが始まるのを待っていた。

 「わが社だけでも1000人の観光客がエアーショーなど元山観光に訪れている」(北朝鮮・平壌旅行社の案内員)。元山はもともと観光地であることに加え、前述したように最高指導者肝いりの場所となった。今後はより観光地としての整備を進め、内外に観光都市をアピールするために、今回のエアーショーが企画・開催されたのだろう。

福田 恵介

最終更新:10/13(木) 9:00

東洋経済オンライン

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。