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しまむらは「衣料品フロア」の救世主になるか

東洋経済オンライン 10/13(木) 5:00配信

 しまむらが大々的に売り出した機能性パンツの快進撃が続いている。昨年秋冬の「裏地あったかパンツ」の102万本のヒットを受け、今年の春夏商戦では従来より機能性を高めた「素肌涼やかデニム&パンツ」を展開。同社によれば、この2016年3月~8月に「デニム&パンツ」は94万本を売り切った。

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 「もう3年目で食傷気味だが、今年もやる」(野中正人社長)との宣言通り、同9月~2017年2月も「あったかパンツ」の販売計画135万本(前期比32.3%増)を見込んでいる。

■業績は過去最高に

 しまむらが10月3日に発表した2016年3~8月期(第2四半期)決算は、売上高2810億円(前年同期比5.8%増)、営業利益251億円(同40.6%増)と大幅な増収増益となった。

 円高が進み仕入れコストが減少したことに加え、「素肌涼やかデニム&パンツ」など販売の主力となるコア商品を強化したことで、例年に比べて在庫処分が少なかったことも好調の要因となった。

 同社はこれまで低価格衣料を武器に業績を伸ばしてきたが、2013年度、2014年度と2期連続で減益に沈んだことから方針を転換。これまでの、多品種少量生産による売り切れご免型から、売れ筋をコア商品と位置づけ、注力するビジネスモデルに転換しつつある。

 秋冬商戦では「裏地あったかパンツ」の販売を135万本計画。「さらば 重ね履き」というキャッチフレーズのテレビCMを集中投下しており、認知度拡大と販売促進に力を注ぐ。コア商品の比率は上期で1割程度まで拡大しており、下期はさらに増やす予定だ。

 品ぞろえ改革に脚光が当たるが、その陰では出店立地についても改革が進んでいる。グループの店舗数は2032店舗(2016年8月20日時点)、そのうち主力の「ファッションセンター しまむら」は1354店舗を占めている。

目指すのは3000店体制

 しまむらはこれまで、地方の幹線道路沿いに大型の路面店を出店してきた。商品の価格が安くても、賃料水準が安い郊外を中心に運営することで、成長を維持してきた。そのため、集客力があっても、賃料が相対的に高い地方や都市部の総合スーパーやショッピングセンターへ進出する例はほとんどなかった。

 だが、近年は方針を転換。2011年に総合スーパー、「ゆめタウンみゆき店」(広島市)へ初出店。2013年11月にはヨーカ堂系ショッピングセンター「ショッピングプラザ鎌ヶ谷」(千葉県鎌ケ谷市)にも出店した。

■商業施設の開拓が焦点に

 背景にあるのが、西友やイトーヨーカドーといった総合スーパーの衣料品部門の不振だ。

 特に西友は自前主義と決別、この7月には「西友与野店」に「しまむら」をオープンさせたように、自社の衣料品売り場に続々と誘致を進めている。

 総合スーパー側から好条件の出店要請が舞い込むようになっており、着実に出店事例を積み重ねている。実際に上期に出店したしまむら10店のうち、4店舗がこうした業態への出店だった。今月10月13日にも船橋市の商業施設「ビビット南船橋」1Fに千葉県内最大級のしまむら店舗をオープンする予定だ。

 しまむらは今期、グループ全体で約70店の出店を計画しているが、数年以内に年間100店舗までに引き上げる見込みだ。その際に、比率が高まるのが総合スーパーやショッピングセンターだ。「空いた区画は貪欲に取っていきたい、まさに全方位外交だ」(野中社長)。

 ただ、懸念材料もある。既存店売上高の前年対比は8月、9月と2か月連続で前年を下回った。特に9月は前年同月比86.2%と2ケタ減だ。「度重なる台風直撃などの天候不順の影響」(会社側)。「GU」や「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなどが同価格帯の商品を投入するなど、競争も激しくなってきている。

 野中社長は2015年度にグループ2000店舗を達成したことで、長期的な目標として3000店舗の実現を掲げる。はたして、しまむらの快進撃はこのまま続くのか。コア商品でヒットを出し続けられることがカギを握る。

菊地 悠人

最終更新:10/13(木) 13:05

東洋経済オンライン