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日米の「割高な株価」が維持できなくなる時

東洋経済オンライン 10/13(木) 10:00配信

 12日の日経平均株価は下落、前日比184円安の1万6840円で取引を終えた。一方、同日のNY市場ではダウは1万8144ドル(前日比15ドル上昇)と小幅反発して終了、為替は1ドル104円台への円安が進んだ。一時のような円高懸念が和らいでいることもあり、ここへ来て日本の株式市場では強気な声が聞かれ始めるようになった。

■それでも日本株には強気になれない

 日本銀行がETF(上場投資信託)購入枠の増額を決めて以降、筆者の日本株に対する興味は大いに薄れたのだが、いまだに高値圏で推移しているということは、高値でも買う投資家が少なからず存在するということだ。筆者は、これらの「投資家」(おそらく主体は日銀と年金だろうが)に「敬意」を表するものの、今後の日本株の動向については、一歩も二歩も引いて見ていきたいと考えている。

 一方で、「株価の調整は必至」と発言する市場関係者も少なくない。理由はそれぞれだが、つまるところドイツ銀行を中心とする欧州の金融機関の問題と、米国大統領選挙に絞られるとみてよいだろう。

 まずは前者から検証してみよう。ドイツ銀行にしても、不良債権に苦しむイタリアのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行にしても、普通に考えれば看過できない状況であることに変わりない。低迷する株価水準(特に後者はわずか1株0.17ユーロ=約20円)を見ればわかる通り、何かが起きれば持たない。株価に織り込まれたというのかもしれないが、今の時点で「何も起きていないから問題ない」とするのは、全くの素人の発想である。

 すでに問題は起きているのだが、問題が深刻化してからでは「時すでに遅し」である。ドイツ銀行については、筆者は米国の考え方一つだと思う。住宅ローン担保証券(MBS)の不正販売に絡んで、米司法省は140億ドル(約1.5兆円)もの制裁金支払いをドイツ銀行に求めている。

マーケットはドイツ銀行問題でどう動くのか

 すでにドイツ銀行側がこの金額の減額交渉に動いていると報じられているが、減額に成功したとしても、金額がゼロになることはない。経営への影響は必至だ。

 一方で、ドイツ銀行の市場での資金調達コスト上昇・高止まりは避けられない。あの名門銀行が、欧州主要21行の中で、最も高くなっているというのだから驚きである。不良債権に苦しむイタリアやギリシャなどの銀行を上回っていることになり、ドイツ銀行が市場でどのような扱いになっているか、容易に理解できるだろう。

 欧州では、ECB(欧州中央銀行)が中銀預金金利をマイナスに引き下げており、さらに大規模な資金供給を実施しているため、本来であれば銀行の短期市場での調達コストはゼロのはずだ。しかし、ドイツ銀行だけが例外的な存在になっているというのが実態である。

 報道などによると、ドイツ銀行が資金調達の際に支払う追加金利のコストは、9カ月では0.02%、1年では0.06%だが、他の主要行はいずれもマイナス金利での調達が可能という。これは、借り入れの際に手数料を受け取れる状況にあることを意味する。ドイツ銀行がいかに厳しい状況に置かれているかがわかる。

■ドイツ銀行問題が「雲散霧消する」とは考えられず

 このような状況になれば、調達コストの上昇が徐々に経営を圧迫し、ある時点で突然破たんするという、銀行破たんによくみられるパターンが想像できる。

 ただ、ドイツ銀行がそのようなパターンに入りつつあるかはわからない。株価が崩落状態にあることを考えると、資本増強などのコストは相当上がり、その可能性は徐々に高まっていると考えるのが普通だ。10月27日の決算にも当然注目が集まる。

 しかし、その一方で、破たんなどを前提に、金融危機が起きるとか、株価が暴落するなどと考えるのも早計である。あくまで結果が重要であり、その結果を見たうえで判断することが肝要である。ドイツ銀行がここまで追い込まれていることを考慮すれば、この問題、ひいては欧州の一部の金融機関の問題が、特に大きなことも起きず、終焉を迎えるなどとは全く考えられない。これが筆者のホンネだ。

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最終更新:10/13(木) 10:00

東洋経済オンライン

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