ここから本文です

松山英樹、石川遼も参戦! 日本オープンと「チャンピオンコース」の重み

nikkei BPnet 10/13(木) 10:10配信

 「あのコースはチャンピオンコースだからね」

 ゴルフ談義の中で、本格的なゴルフコースという意味でチャンピオンコースは使い勝手が良い言葉の代表かもしれません。この使い方、ほとんどの場合で間違っているのを知っていますか?

 チャンピオンコースは、正確には全英オープンが開催されたゴルフコースだけに許される特別な称号なのです。書くまでもないと思いますが、全英オープンは毎年7月に開催される四大メジャートーナメントの一つで、1860年から続く世界最古のゴルフ競技です。正式名称は“The Open Championship”。英国以外のエリアでは自国のナショナルオープンと区別するために“British Open”と呼んでいます。

 プロゴルファーとアマチュアゴルファー、分け隔てなく参加できるのがオープン競技です。最初は近代ゴルフの父といわれ、世界最初のプロゴルファーであるアラン・ロバートソンが亡くなり、セントアンドリュースの専属プロの跡目を決めるための競技だったのです。色々な思惑が入り乱れて、一筋縄ではいかなかったことから公正にトップを決めるのにふさわしい競技にしようとした工夫が、結果として全英オープンという競技を作り上げていきました。

 第1回から第12回までは、会場コースはプレストウィックGCで、変更がありませんでした。第12回大会の前に協議が重ねられて、プレストウィック、セントアンドリュース、マッスルバラの3コースの持ち回り、優勝トロフィーの贈呈、72ホールのストロークプレー競技などの現在につながる決まりができたのです。

 今年の全英オープンは145回目の大会でしたが、現在までに全英オープンを開催したチャンピオンコースは11コースだけしかありません。

米国の心意気、世界一のトーナメントに!

 日本で全長が7000ヤード以上あって、トーナメントが開催できるようなゴルフコースがチャンピオンコースだと勘違いした使い方が横行しているのは、バブル期に新設ゴルフコースが乱立したときに、新規会員募集の宣伝文句で誤用されたのが始まりです。権威あるチャンピオンコースという言葉を使わなくとも、トーナメントコースという言葉を使えば十分だったはずが、チャンピオンコースにはナンバーワン的な言葉の響きもあるのでインパクトがあったのでしょう。

 全英オープンの開催コースは英国だけですが、他の国でチャンピオンコースという言葉が使えないわけではありません。ただし、徐々に緩和されながらも、米国でも自国のナショナルオープンである全米オープン(U.S. Open Championship)を過去に開催したゴルフコースだけに使っていこうという流れになっています。

 日本ではチャンピオンコースという言葉の本来の意味などどこ吹く風、修正される兆候すらありません。残念ですが、その根底は自国のナショナルオープンへの意識の違いにある気がします。

 米国は、全米オープンを国内どころか世界一のトーナメントにしようという心意気にあふれています。全米オープンのチケットは開催の1年前の7月に売り出され、2016年まで31年連続して前売り段階で完売しています。日本オープンは、入場者数が多かったと話題になった2014年の千葉CC梅郷の開催期間全てを合計しても3万人弱でしたが、全米オープンは狭い開催コースでも1日で3万人を楽に超えますし、広いコースであれば1日5万人以上ということもしばしば起きるのです。

 主催する全米ゴルフ協会(USGA)は公表していませんが、大会ロゴが入ったグッズの売り上げは開催の3年前には売りに出され、日本円で1開催10億円以上の収入になっていると推測されています。年間約200億円の収入があるといわれる全米ゴルフ協会ですが、その大半は男子、女子、シニアの全米オープン関連の収入なのです。全米ゴルフ協会だけでなく、米国人ゴルファーの多くが選手として参加するだけはなく、何らの形で携われるようにすることをよしとする空気が全米オープンを世界一にしていくのです。

1/2ページ

最終更新:10/13(木) 10:10

nikkei BPnet

記事提供社からのご案内(外部サイト)

nikkei BPnet

日経BP社

日経BP社が運営するプロフェッショナルのためのビジネスキュレーションサイト。仕事に役立つ先端情報に最速でアクセス。

なぜ今? 首相主導の働き方改革