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2000万円超の新型ホンダNSX、出来は良いけどなぜか心底喜べない理由

NIKKEI STYLE 10/14(金) 7:47配信

■ホンダは欧米スーパーカー界に殴り込みをかけたのか?

 非常に悩ましい話題作が登場した。日本が誇る本格的ミッドシップ・スーパーカー、ホンダ「NSX」の2代目だ。すでにテレビやネットで紹介されているので、ご存じの人も多いはずだが、まずは奇跡の復活劇を喜びたい。

 なぜなら今や世界で年間1000万台以上も売る世界最大のトヨタグループでも、スーパーカー市場にはほぼ食い込めていないのが現状だからだ。実際、NSXが出るまでの国内最高価格の四輪車は、1500万円強のトヨタグループのレクサス「LS600hL」。それも主にビジネス用に使われる、ある種の実用高級車だ。

 比べると最近出た純粋娯楽たる国産2人乗り本格スーパーカーは、レクサスが6年前に生産した「LFA」のみ。しかも世界500台限定(2012年12月に生産終了)と試し売りレベルにとどまっており、世界で頂点に立つイタリアのフェラーリやランボルギーニ、英国のマクラーレンの三大スーパーカーブランドにはまったくもってかなわない。

 いってみればルイ・ヴィトン、グッチ、エルメスなどほとんどがフランスやイタリアの欧州ブランドに独占されている高級ファッション界にも似た状況だ。

 対してNSXは初代デビューから26年、生産が途絶えてから11年ぶりの復活だけあって、覚悟は決まっているかのようで、生産は当面継続するという。しかも2代目の造りの本格度は格段に上がり、税込み価格は初代の約3倍となる2370万円! ライバルのフェラーリ「カリフォルニアT」、ランボルギーニ「ウラカン」にほぼ並んだわけで、ホンダは2015年に自動車レース、F1グランプリに復帰したが、続けざまに欧米スーパーカー界に殴り込みをかけたのか? と一瞬思えなくもない。自動車メディアに関わるものとして期待せずにはいられない状況なのである。

■どこかとがりきってない印象が漂う

 というわけで神戸の新型NSX試乗会に訪れた小沢。だが、その姿は期待を感じさせつつも残念さが残るなんとも微妙な出来だった。
 全長×全幅×全高は4490×1940×1215mmと本格的。これは世界のミッドシップカーの頂点たるフェラーリ「488GTB」よりわずかに短いが、幅や高さは同等。しかしフォルムは本格的でも、フロントマスクは同社の量産ハッチバック「フィット」を押しつぶして平たくしたよう。他より抜群に美しいとは言いがたい。

 かたや中身はものすごい。ボディーは製法の違う数種のアルミを使った軽量&超高剛性のスペースフレーム。技術的にもフィーリング的にもライバルもかくやの出来で、外板は軽量アルミ材からカーボン材から耐熱プラスチックまで使われている。

 パワートレインもすごい。ホンダ独自のパワーとエコと操縦性を両立した3モーター式ハイブリッドで、新設計の3.5リッターV6型6気筒ツインターボをリアに搭載して1モーターを直結。そのうえ、左右フロントタイヤにモーターをそれぞれ配し、システム出力は合計で581ps!

 これが実際に乗ると発進はモーター、伸びはエンジンという具合に補い合うので、発進から高速までスキなく速いうえに、驚きはコーナリングだ。フロント左右に配備したモーターにより、左右回転トルク差を絶妙に制御。コーナー進入時にはインにピタっと寄り、脱出時はムダに膨らまず、狙い通りに曲がる曲がる!

 しかもインストルメントパネルのセンターの使いやすい位置に、4つの走行モードが選べるダイヤルが付いている。その中で一番エコな「クワイエットモード」を選ぶと、最初の一瞬は静かに電気自動車(EV)としてスタートする。……といってはみたもののものすごいエコというほどではない。JC08モード燃費は12.4km/Lで、同じエコ系スーパーカー、BMW「i8」のハイブリッド走行時の19.4km/Lに負ける。

 つまり、コーナリングは確かに面白いし、本格的な中にも、絶妙にうま味調味料が効いたような独特のテイストが味わえるが、スタイル的インパクト、加速的インパクト、エンジンサウンド的インパクトは突出していない。

 ライバルのフェラーリやランボルギーニと比べて地味さもあり、どこを狙っているのか分からない部分も見えてくるのだ。

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最終更新:10/14(金) 7:47

NIKKEI STYLE

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