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米ドル相場の先行きは 円高は五輪効果で18年ごろ終息か

NIKKEI STYLE 10/14(金) 7:47配信

 私が外国為替(外為)に携わって、かれこれ30年近くがたちます。外資系金融機関に勤めている以上は外為に関わる業務に就きたい、という希望がかない、ある日テラー(窓口業務)からインターバンクディーラーへ異動する機会を与えられました。

 外貨やトラベラーズチェックの販売・換金、海外送金の手続きをする窓口業務はたいていの場合、資金の出し手と受け手のいずれかが円になります。しかし、インターバンクディーラーは銀行間市場で米ドルをはじめ、ユーロや豪ドルなど多通貨間の為替取引を行うため、出し手も受け手も円とは限りません。例えば豪ドルがニュージーランド(NZ)ドルに対して強いかそれとも弱いか、瞬時の判断を求められる職種なので、1米ドル=100円がある時点と比べて円高なのか円安なのかは理解していても、駆け出しの頃は1豪ドル=1.06NZドルといったなじみの薄い通貨ペアの為替レートとトレンドを把握するのに苦労し、先輩ディーラーに大目玉を頂戴したこともありました。

 昨今、日本の個人投資家の為替取引は円を介さないユーロ/ポンドやポンド/豪ドルなど多種多様で、その機動力と柔軟性には目を見張るものがあります。ドルは基軸通貨として相場をけん引するのが常ですが、時としてドル以外の先進国や資源国、新興国通貨をきっかけに新たなトレンドが形成されることもあります。外貨投資はご自身の運用目的や期間に見合ったものであることが前提ですが、その時々の市場環境に合わせた通貨の選択も重要です。こうしたなかで、外貨←→外貨の運用も有効な手立てとなるでしょう。この回では2016年を振り返り、来年の為替相場を米ドルを中心に展望したいと思います。

■16年の相場を振り返ると

 16年の金融市場は波乱の幕開けでした。米連邦準備理事会(FRB)が15年12月に9年半ぶりの利上げを決定したため、米ドル高のトレンドが継続するかと思いきや、人民元安と原油安を背景にリスクオフの円買いが先行したのです。しかし、日銀が16年1月末の会合でマイナス金利を導入すると円売りが加速し、ドル/円は121円70銭付近までドル高・円安になりました。ただ、世界的な低インフレを背景に米国の景気回復ペースは速まらず、市場の利上げ観測が徐々に後退し、米ドルは上値の重い展開が続きました。

 一方、英国は6月に実施した国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を選択、想定外の結果にマーケットはポンド売り一色に。金融市場が混乱に陥るなか、日経平均株価は1万5000円割れ、ドル/円は一時99円付近まで急落しました。その後、日本では7月10日の参院選で自公民が圧勝し、政府の大型経済対策への期待が投資家心理の改善につながったことで円安が進行、ドル/円は107円台半ばまで反発しました。ただ、FRBと日銀の政策運営に対する不透明感がくすぶり、その後はおおむね99円台半ばを下値に、上値を切り下げる形で上下を繰り返しました。

 相場には上昇、下降、横ばいの3つのトレンドがありますが、年初来のドル/円はチャートパターン上、典型的な三角持ち合い相場を形成しました(図表1)。方向感のないトレンドはこの間のドル円相場が横ばいであったと判断されますが、11月8日投開票の米大統領選挙を目前に控えて、ドル/円は5週間ぶりに104円台を回復。地合いはドル高・円安に振れて、上昇基調に向かいつつあります。

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最終更新:10/14(金) 7:47

NIKKEI STYLE

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