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大島と八丈島。「離島の連合チーム」が秋の都大会に勝ち進んだ意義

webスポルティーバ 10/14(金) 12:10配信

 野球は9人そろわなければできない──。

 そんな当たり前の前提が当たり前のように崩れる時代が、もう目の前に迫っている。

【写真】夏の東東京代表である八王子高校ナイン。今秋の東京東都大会はどんなドラマが生まれるのだろうか。

 今秋の東京都大会。一次予選を勝ち抜いた64校のなかに、ひときわ異彩を放つチームがあった。それは「大島・八丈」。伊豆大島にある大島高校と、八丈島にある八丈高校による連合チームだ。

 大島高校野球部監督で、大島・八丈連合の監督を務めた赤澤秀幸は言う。

「同じ離島の苦しみを分かち合えるところと組みたかったんです」

 連合チームとは、部員が9人に満たない学校同士が組むチームのこと。離島の高校が本土の高校と連合チームを組むことは過去にもあったが、離島の高校同士が連合チームを組むことは、極めて異例と言える。

 7月下旬。8人の3年生部員が引退し、新チームを迎えた大島高校は2年生4人、1年生4人の計8人になってしまった。夏の大会まで監督を務めていた天野一道は、新監督に就任したばかりの赤澤に「秋の大会はどうする?」と尋ねた。赤澤はかねてより考えていた「八丈高校との連合チーム」というプランを打ち明ける。

 天野も賛成し、具体的にどう進めていくか話し合っていたちょうどそのとき。野球部あてに1本の電話が入った。八丈高校野球部監督の佐々木優からだった。佐々木は赤澤に「連合チームを組ませてもらえないか?」と願い出た。赤澤はこのタイミングでの連絡に運命を感じずにはいられなかった。

「僕たちが『八丈さんと組みたい』と話していた、まさにそのときに電話をいただいたので、相思相愛だな……と思いました(笑)」

 一方、八丈高校監督の佐々木は、大島高校についてこんな印象を抱いていた。

「同じく島のチームで、しっかりと練習しているチームだと思っていました」

 大島高校は離島のチームとはいえ、1997年と2006年の夏に東東京大会ベスト8まで勝ち上がるなど、強豪として知られていた。長年、監督を務めた樋口秀司氏(故人)の指導や、本土の高校を夏合宿に呼ぶなどして強化し、離島のハンデを克服していった。一方、八丈高校も2009年夏に東東京大会ベスト16に食い込む健闘を見せている。

 こうした実績のある両校だけに、連合チームを組んだことに都内では衝撃が走った。大島高校は部員8名、八丈高校に至っては2名しか部員がいなかったのだ。

 部員が減った背景を大島高校の赤澤はこう語る。

「かつて1万人を超えていた人口は今や8000人を切るか切らないか。島民自体が減っていますし、大島高校の全校生徒は約140人しかいません。1年生の男子は14人で、そのうちの4人が野球部員なので、よく入ってくれていると思います」

 一方、八丈高校は8人いた3年生が引退すると、残されたのは2年生1人、1年生1人のわずか2人だけになった。唯一の2年生部員である西濱智洋は、身長175センチ、体重82キロとガッチリした体型の強打者だ。

「中学(大賀郷中)のときから部員は少なかったんですけど、なんとか3学年で9人以上はいました。でも、みんな高校で野球はやらないと……。練習は僕と、1年生の浅沼(康平)と佐々木先生の3人でやっています」

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最終更新:10/14(金) 14:34

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