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安倍晋三首相は電通社員自殺問題をどう思っているのか --- 常見 陽平

アゴラ 10/14(金) 16:47配信

新聞各紙が「電通過労自殺問題」を報じている。全国紙では、朝日新聞と読売新聞が社説で、この件について問題提起をしている。論調はほぼ同じだ。以前、電通で起きた事件や、ワタミの事例を持ち出している点も一緒である。産経新聞は1面のコラム「産経抄」にて『釣りバカ日誌』のハマちゃんを引き合いに出しつつ論じている。他にも沢山の地方紙がこの問題について論じている。ネット上でも専門家や、ブロガーが沢山の意見を発信している。例の大学教授の不適切な発 言も話題になっている。

朝日新聞2016年10月12日付朝刊
(社説)過労自殺根絶 企業も国も問われる
http://www.asahi.com/articles/DA3S12602498.html

読売新聞2016年10月13日付朝刊
電通過労自殺 長時間残業の解消が急務だ : 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20161012-OYT1T50138.html

産経新聞2016年10月13日付朝刊
【産経抄】「残業100時間で過労死は情けない」…これが企業の「本音」とすれば過労死の根はどこまでも深い
http://www.sankei.com/column/news/161013/clm1610130003-n1.html

しかし、私はこの問題について、発言するべき人が声明を発表していない点について、憤りを感じている。それは「働き方改革」を「最大のチャレンジ」として推進する安倍晋三首相であり、厚労相、働き方改革相、1億総活躍相といった面々である。経団連会長もちょうど10月11日に記者会見を行っているが、この件についての発言は見られない。連合のHPも確認したが、この件に関してのコメントはない(神津会長は昨日のプライムニュースに生出演していたとのことだが、まだ番組を確認できていない)。管見の限り、この件について発言するべき人が言及したあとは見られない。「働き方改革」に関わる者たちは本気なのかと疑ってしまう。

長時間労働の是正は、「働き方改革」の最も大きなテーマの一つであるはずだ。「過労自殺」は長時間労働の中でも究極的な状況であることは言うまでもない。 この「最大のチャレンジ」を検討する段階において、この事件が明るみに出た中、推進する側からコメントが出ないのはいかがなものか。

この手のことが起こるたびに囁かれる電通陰謀論的俗説を論じるつもりはない。一企業で起きたデリケートな問題、しかも裁判が起きた案件について論じること に気がひける部分もあるだろう。より入念な事実確認をしているのかもしれない。ブロガーたちのネット上でのエントリーにおいても「発言するべきかどうか 迷ったが」というようなフレーズが散見された。ただ、ここは首相や、関係閣僚はコメントするべきところではないか。「働き方改革」推進をアピールするという下心からだとしても、だ。

会社で人が死ぬ社会、倒れる社会、傷つく社会を根絶するべきだ。労使の関係も「片手で握手し、片手で殴る」というような、協調と緊張感が大事だ。「1億総安心労働社会」を実現するためにも、この悲劇からの教訓を活かさなくてはならない。「1億総活躍」だ「働き方改革」だという話を単なる霞が関ポエムにしないためにも、首相や関係閣僚のコメントを期待する。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2016年10月13日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた常見氏に心より感謝申し上げます。オリジナル原稿を読みたい方は、こちら(http://www.yo-hey.com/archives/55541651.html)をご覧ください。

常見 陽平

最終更新:10/14(金) 16:47

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