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『SCOOP!』と『ナイトクローラー』、日米パパラッチ映画の違い ラッパー・ダースレイダーが考察

リアルサウンド 10/14(金) 20:29配信

 福山雅治が大胆な汚れ役に挑戦! 煽情的な予告編からも作品のテンションの高さが伝わってきます。本編を観賞すれば、オープニング曲がかかるまでの展開で一気に体内から昂揚感が沸いてくるのが実感出来るでしょう。

 題材はパパラッチ。語源はフェリーニの映画に登場する悪徳カメラマンの役名「パパラツォ」の複数形である説が有力、と報道写真家の宮嶋茂樹氏が指摘しています。世間の評価としては最低のやつら、弱いものいじめ、モラルの欠如した連中……と散々なもの。そこに日本を代表する2枚目俳優、福山雅治が挑む。このキャスティングの惹きはかなり強力です。

 ここで『SCOOP!』の内容を紹介するにあたり、もう1本映画を紹介したいと思います。2015年公開の米映画『ナイトクローラー』です。かたや写真週刊誌、かたやローカルニューステレビと活動拠点はやや異なりますが、ちょうど近いタイミングで公開された日米パパラッチ映画を比較しながらそれぞれの特徴を考えてみたいと思います。

 まずは主人公を比較してみましょう。『SCOOP!』の都城静は芸能スキャンダル専門のカメラマンです。かつては報道写真家としてスクープを連発していた過去が語られますが、現在の芸能人を追っかける境遇を自虐的に腐しながらも、目標達成のためには手段を選ばずドライに挑みます。発言も行動もいちいち下品なのですが、内面は好人物なのが要所要所で滲み出ます。

 一方、『ナイトクローラー』のルイスはひょんなコトからスクープをものにし、自らのパパラッチとしての才能に気づいて、狂気的なまでに報道カメラマンの仕事に没入していきます。彼はネットで見つけたビジネスセミナーの格言をそのまま自身の行動哲学にしている男で、一見普通なのですが、実はとんでもないサイコパスなのが徐々に判明します。

 二人の行動動機と描き方には大きな違いがあります。都城は、かつて目指した報道写真家への憧憬を残しつつ、読者の「欲望」に応えるために芸能スキャンダルを追います。これは周りの登場人物も同じで、皆が報道スクープを上、芸能ネタやグラビアを下に置く価値観を共有しながらも、読者の「欲望」を優先させるジレンマを語ります。「欲望」を叶えるための手段が論じられるのですが、「欲望」そのものはテーマにはなりません。そのため、連発されるスクープ場面もネタ的な面白さが前面に出て、「欲望」についての根本的な問いが観客に突き付けられることはありません。

 ルイスも、視聴者の期待に応えるでかいスクープを狙うのですが、本人の「欲望」こそが駆動力になっています。そこにジレンマはなく、完全に自己肯定しています。ディレクターのレネ・ルッソ演じるニーナも倫理の問題をすっ飛ばしてルイスのスクープを次々と採用していくので、観客は嫌でも自身の中にもある「欲望」について考えさせられます。結果、両作ともにスクープが連発されていっても、その積み上げ方はだいぶ違って感じられるのです。

 都城には二階堂ふみ演じる野火という相方、ルイスにはリックという相方がいます。この二人の行く末の違いにこそ両作の違いが反映されていると言えるでしょう。都城が女副編集長の横川や野火とセックスする流れと、ルイスがニーナとセックスする流れもまた然り。都城もルイスも銃をカメラに置き換えたスナイパーとして描写されますが、カメラの先にある標的を見つめる感情の違いも面白いです。派手なカーチェイスなど、映画の中で描かれる出来事は同じでも、その背景は? ということで、この機会に『SCOOP!』と『ナイトクローラー』を見比べてみるのが良いのではないでしょうか?

DARTHREIDER a.k.a. Reu Wordup

最終更新:10/14(金) 20:29

リアルサウンド

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