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公開から30年、いま初めて明かされる『ラピュタ』創作秘話 宮崎駿監督とスタッフの「青春と情熱」

現代ビジネス 10/14(金) 11:01配信

 『天空の城ラピュタ』。いわずと知れた宮崎駿アニメの名作だ。ところがここ数年ネット上では、TV放映されるたびにTwitterで「バルス」(クライマックスで放たれる滅びの呪文)と発信する「バルス祭り」なる遊びが恒例となっている。もはや作品の内容よりも「祭り」の熱狂に話題が集まっている面がなきにしもあらず……。

 一方で、公開から30年の時が流れたにもかかわらず、宮崎監督がどのような試行錯誤を重ねて『ラピュタ』を産み出したのかは、ほとんど知られていない。

 『ラピュタ』の制作進行をつとめていた木原浩勝さんがこのたび上梓した『もう一つの「バルス」 -宮崎駿と『天空の城ラピュタ』の時代-』は、スタジオジブリ創設当時から名を連ねた制作スタッフならではの視点で、当時の監督の姿をつぶさに描き出している。

 日本が空前のバブル景気に沸きかえる中、監督やスタッフはどのようにプレッシャーと闘い、どれだけの情熱を注いで『ラピュタ』をつくりあげたのか――木原さん自身に尋ねてみた。

「単なる15回目」ではなく

 今年1月15日、日本テレビ系列「金曜ロードSHOW!」で通算15回目となる『天空の城ラピュタ』が放送された。

 しかも特に今回はネット上の遊びであった「バルス祭り」を公認し、特設サイト「バルス!!  みんなの時刻予想」なるものまで登場。オンエアの際には、CMのたびにテレビ画面上に「バルス」までのカウントダウンテロップが挿入されるという、前代未聞の珍事となった。

 「今年(2016)はちょうど『天空の城ラピュタ』公開30周年にあたります。加えて、宮崎さんが『もう劇場用長篇アニメーションはつくりません』と引退宣言してから初めて放送された『ラピュタ』でした。

 そもそも『ラピュタ』は、宮崎監督の初オリジナル原作・脚本作品であると同時に、スタジオジブリ設立第一作となった作品ですから、ジブリの歴史にとって、あの作品は非常に特別な意味があると思っているんです。ところがテレビ放送中では一度も『公開30周年』に触れることはありませんでした」

 結果的に放送中に90万バルス(? を記録し、祭りは盛り上がったといえるが、公開30年を知る往年のファンの声は賛同ばかりとは言い難い。そんなアンバランスな光景を目の当たりにした木原さんは、すこし寂しそうに胸中を物語る。

 「もちろん、注目を浴びること自体はとても良いことです。”祭り”を通じて一体感や楽しみ方を広げるのもけっして悪いことではない。

 けれど、公開・誕生30年の節目に当たる年に放送され、30年間ファンに愛され続けたからこその15回目の放送であると思っていたのに、これまで通りの放送のように映りました。

 30年前の当時、あれほど大変な困難を乗り越えて作られたスタジオジブリのデビュー作なのに……。今になって僕がわざわざこんな本を書いた理由はそこにあります」

〔PHOTO〕Kiyoshi Mori

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最終更新:10/22(土) 15:31

現代ビジネス

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