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オウチーノ債権回収に懸念、どうなる「モンゴル夢のマイホーム」

会社四季報オンライン 10/14(金) 17:21配信

 住宅・不動産情報サイト「O-uccino」などを運営するオウチーノ <6084> の子会社の一部債権に、取り立てのできなくなる可能性が浮上している。子会社のスペースマゼラン社がモンゴルの建設業者スタンダード・プロパティ・グループ(以下、スタンダード社)と結んだウランバートルにある大型アパートメントの買い取り再販契約をめぐって、約束の期日になっても物件の引き渡しが行われなかったことに端を発するものだ。

 「モンゴルの人々に『夢のマイホーム』を」。スタンダード社が日本語で開設しているホームページには、このプロジェクトの概要がまとめられている。

 それによると、この案件はウランバートル市中心部からクルマで15分ほどの場所に位置するソンギノ地区における、再開発プロジェクトの一部。モンゴル政府やウランバートル市の支援を受け、同市住民の6割が住む移動式住居のゲル地区に、生活環境の整備されたアパートメントを供給するという。

 スペースマゼランは2015年7月28日に、全体で28棟3024室の同アパートメントのうち、1棟52室を130万ドルで購入する売買契約をスタンダード社と締結。同7月29日に入金を行い、財務諸表上で1億6190万円(1ドル=124.5円で算出)の前渡金を計上した。本契約では、解除オプションとして、購入代金130万ドルに年利18%の利息を付加した返済が定められていたという。

■ 引き渡し日に物件完成せず

 しかし、アパートメントの建設計画に遅れが発生。スペースマゼランも途中で現地視察を行っていたが、原売買契約の完了日であり、アパートメントの引き渡し日となる16年5月31日時点でも物件は完成しておらず、引き渡しが行われなかった。

 このため、スペースマゼラン側が解除オプションを申し出、スタンダード社もこれに同意。しかし、期日になっても返済は不履行のままだった。「再協議をした結果、返済開始が半年遅れて期間も長期化するなど新たな提示を受けたため、回収に不確実性が高まった」というのが、スペースマゼラン側の見解だ。

 そもそも、オウチーノにとってスペースマゼランが手掛けるプロパティ事業は、14年8月に立ち上げた新規ビジネス。海外法人との取引案件は今回のスタンダード社のものと、別のモンゴル国内の案件の2件のみで、そのほかは日本国内での不動産売買が収益の中心となっている。15年12月期のセグメント売上高は2.6億円と全社売上(15.2億円)の17%程度。だが、経常利益は6750万円(全社経常利益は700万円)に達し、住宅不動産ポータル事業など、他セグメントの赤字を補う状況だった。

 スタンダード社向けの解約オプションを行使できれば2000~3000万円程度の収益が見込めるが、債権の取り立てが予定どおりできるかは不透明となっている。前渡金として計上した1億6190万円は、オウチーノの直近会計年度末の連結純資産の20%にあたる額だ。

 スタンダード社の日本事務所によると、当該アパートメントは、計画に遅れが出たものの、現時点では完成している。「本社の意向を把握しているわけではないが、オウチーノ社のリリースの内容と若干の認識の相違はあるものの、返済については協議の上で常識的な対応をするのではないか」と、日本事務所の担当者は見解を示す。

 オウチーノ側は、10月下旬にアパートメントの完成状況など現地を視察し、「スタンダード社の本社と再度協議をしたうえで、今後の対応を判断していく」(村田吉隆執行役員)。そのうえで、貸倒引当金の計上などの必要性が出た場合、金額および業績への影響をあらためて開示する方針だ。

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

島 大輔

最終更新:10/14(金) 17:21

会社四季報オンライン