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小宮一慶:リニアと整備新幹線の「整備加速」は経済効果を生み出せるのか?

nikkei BPnet 10/14(金) 11:22配信

 新たな経済対策の経費を盛り込んだ16年度の第2次補正予算案が10月11日、参議院本会議で成立しました。その内容を見ると、子育て・介護の環境整備や臨時福祉給付金などを含めた「一億総活躍社会の実現の加速」。外国人観光客の集客、農林水産業の競争力強化、リニア中央新幹線や整備新幹線等の整備加速を含めた「21世紀型インフラ整備」。熊本地震や東日本大震災の復興予算など、あわせて4兆5221億円が計上されています。
 注目したいのは、これが日本の経済立て直しや成長に現実的にどれだけコミットしているかという点です。正直なところ、この内容では直近の経済効果はほとんど期待できません。私が特に注目しているのは、「リニア中央新幹線や整備新幹線等の整備加速」です。リニアにおいては直近の経済効果を期待できず、整備新幹線では下手をすれば、中長期的には「逆効果」を生んでしまうことにもなりかねないことを心配しています。
 「未来への投資を実現する経済対策」には、目玉として「リニア中央新幹線の全線開業前倒し」1兆5000億円と、「整備新幹線の整備の加速化」8279億円が計上されています。これが吉と出るのか、凶と出るのか。私が懸念している問題について述べたいと思います。

リニア中央新幹線の全線開業「前倒し」とは

 「リニア中央新幹線の全線開業前倒し」とは、一体どういうことなのでしょうか。

 11年後にあたる2027年に、リニア中央新幹線の品川~名古屋間が開通します。将来的には大阪まで延伸する予定で、こちらは2045年に開業する見込みです。

 そこで何を前倒しするのかというと、名古屋までの区間ではなく、その先の「名古屋から大阪までの延伸」です。国がJR東海に融資をすることで、大阪までの開業時期を2045年から8年早めようとしているのです。

 当初の予定では、大阪までリニアが走るようになるのは、今から29年も先の話でした。これを8年早めたとしても21年後です。つまり、経済効果という面では、今予算を計上したとしても、当面はないというわけです。

 そもそも、なぜ国がJR東海に融資をするのでしょうか。JR東海は、当初、自社のお金でリニアをつくろうとしていました。同社はこのところ年間5000億円以上の営業利益を稼ぎ出す超優良企業ですから、自前で資金を捻出することは不可能ではありません。

 ただ、リニアの総工費用は品川~名古屋間だけでも5兆4300億円、大阪まで延伸すると合計で9兆円という莫大な金額になる予定です。さすがのJR東海でも、投資時点でのキャッシュフローや、完成後の減価償却負担がかなり重くのしかかります。

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最終更新:10/14(金) 11:22

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