ここから本文です

妻が死んだら泣けますか?映画 『永い言い訳』

日経トレンディネット 10/15(土) 13:00配信

 もし、妻に先立たれてしまったら──。結婚している男性の多くは、たぶん普段、こんなことを考えないのではないか。もちろん置かれた環境や年齢などによって異なるだろうが、若ければ若いほどあまり考えそうにない。

【関連画像】(C) 2016「永い言い訳」製作委員会

 本木雅弘演じる主人公も、妻の死なんてこれまでの人生の中で考えたことがなかったに違いない。

 映画『永い言い訳』は2003年のデビュー作『蛇イチゴ』以来、『ゆれる』(2006年)、『ディア・ドクター』(2009年)、『夢売るふたり』(2012年)など常に完全オリジナル作品に挑んできた西川美和監督が、直木賞候補となった自らの書き下ろし小説を映画化した作品だ。

 この映画で主人公の衣笠幸夫を演じているのが、『日本のいちばん長い日』の昭和天皇役で昨年度の賞レースを席巻した本木。常に様々な作品に出演しているイメージがある本木だが、映画主演となると『おくりびと』以来8年ぶりとなる。

 本作は、長年連れ添った妻・夏子(深津絵里)を突然のバス事故で失ってからの、主人公・幸夫の姿を描いていく。

妻が死んでも悲しみも湧いてこない

 幸夫は津村啓というペンネームで活躍する人気作家だが、遅咲きだったため、売れるまでは美容室を経営する妻・夏子に世話になったという引け目があった。

 事故が起きた日は、親友の大宮ゆき(堀内敬子)と一緒にバス旅行に出かける夏子に、出発前にリビングで髪を切ってもらったばかり。しかしその最中にちょっとしたことで口げんかになる。揚げ句、夏子の出発後は女性編集者(黒木華)を自宅に招き、情事に夢中になる始末。

 電話がかかってきたのはその翌朝、不倫相手とじゃれているときだ。夏子との間に愛情と呼べるものはすでにない幸夫は、警察から事故に遭う前の妻の状況を尋ねられるも何ひとつ答えられず、悲しみも湧いてこない。

 やがて告別式も終わり、事故被害者説明会で幸夫に声をかけてきたのは、悲嘆に明け暮れ、感情を激しくぶちまけるゆきの夫・大宮陽一(竹原ピストル)だった。トラック運転手をしている陽一は、幸夫とは真逆で妻のことが忘れられない。しかも、幼い子どもたちを抱えている。ある日、幸夫は陽一とその二人の子どもたち──保育園に通う灯(あかり)と、灯の世話のために中学受験を諦めようとしていた真平に会い、自分でも理由が分からぬまま、子どもたちの面倒を見ることを陽一に申し出る。

1/2ページ

最終更新:10/15(土) 13:00

日経トレンディネット

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Yahoo!ニュースからのお知らせ