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憎きアイツを一網打尽! 「ごきぶりホイホイ」開発秘話(裏読みWAVE)

NIKKEI STYLE 10/15(土) 7:47配信

 アース製薬のゴキブリ捕獲器「ごきぶりホイホイ」が発売されたのが1973年(昭和48年)。以来、看板商品として売れ続け「ゴキブリ捕獲器市場の9割を超える安定したシェアを握るロングセラー商品」(同社)に成長してきた。その強さの秘訣はどこにあるのだろうか? 取材してみると、改良を積み重ねる地道な努力に加えて、国内外の市場構造の様々な変化が浮かび上がってきた。

■0~6世代の変遷、出発点は住環境の変化

 写真を見てほしい。歴代の「ごきぶりホイホイ」のパッケージである。まず同商品の開発秘話について紹介しよう。
 そもそも「ごきぶりホイホイ」が開発された背景には住環境の急激な変化があるとされる。
 国民の生活水準が大幅に向上した60~70年代。鉄筋コンクリート製のマンションなどが増え、従来の木造家屋よりも部屋の密閉性が高まってきたほか室内の冷暖房も整ってきたことから、家の中で越年するゴキブリが急速に増えてくるようになった。「そこで当時の大塚正富社長が鳥もちをヒントにした商品をひらめいたのが出発点だった」。アース製薬坂越工場(兵庫県赤穂市)の吉栖一成工場長はこう話す。

■鳥もちがヒント、ゴキブリの生態研究をいかして開発

 ゴキブリについての生態研究から(1)臆病で薄暗いところが好き(2)色弱なので色の区別はできない(3)仲間を引き付け、集団で暮らす(4)雑食性で何でも食べる(5)壁際をフェロモンをつけながら歩く(6)驚くとフェロモンを伝わって逆走する(7)目の前に暗い箱や穴があれば飛び込む(8)脚の裏の吸盤で垂直の壁ものぼる――などの習性があるとわかっていた。
 「それならば粘着剤と餌を置いた小さな箱を薄暗い壁際に置いておけば、ゴキブリが入り込んで捕まってくれるに違いない。最初に1匹捕まればそのフェロモンにつられて次々と仲間のゴキブリがおびき寄せられるのではないか……」。こう考えたそうだ。

■試作品が失敗したワケ、触角・ネーミングなどで試行錯誤

 ところが、実験に取りかかってみると結果は失敗に終わった。
 原因は「ゴキブリの触角」――。ゴキブリが餌につられて近づいてきても、長い触角で箱の中にベタベタした粘着剤があるとすぐに勘付き、箱に入らずにUターンしてしまうためだ。
 「なにか対応策はないか?」。そこで考案したのが箱の両側の入り口に角度45度の「小さな上り坂」を設置することだった。ゴキブリに入り口の坂を上らせると、うまい具合に触角が粘着剤に触れることなく、箱の中に飛び込んでくれる。そうなれば粘着剤に体が張り付き、身動きがとれなくなる。ゴキブリの脚には吸盤があるから、小さな坂ならば問題なく上ることができる。
 この対策はずばり的中した。実験すると面白いようにゴキブリが捕獲できるようになり、捕獲率が30倍に跳ね上がったという。
 残った課題はデザインとネーミングだった。
 ゴキブリは色を認識できないので「それならばなるべく利用者の不快にならないように」とカラフルな色やイラストを使って捕獲器自体をログハウスのような楽しいデザインにした。さらに商品名は「ゴキブラー」とした。子どもたちの間で空前の怪獣ブームが起きていたからだ。
 ところがこのネーミングに当時の大塚正士会長から待ったがかかった。「それではおどろおどろしすぎる。もっと主婦に親しみがわくような名前でないとダメ」というわけだ。

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最終更新:10/15(土) 7:47

NIKKEI STYLE

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