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知らなきゃヤバい!愛猫の「誤飲事故」を防ぐ方法と対策

サライ.jp 10/15(土) 17:20配信

ときには命の危険も!愛猫の「誤飲事故」を防ぐ方法と対策【猫のふしぎ第23回】

空前の猫ブームといわれる昨今。でも、猫の生活や行動パターンについては、意外と知られていないことが多いようです。

人間や犬の行動に当てはめて考えて、まったく違う解釈をしてしまっていることも少なくありません。昔から猫を飼っているから猫の性格や習性を熟知していると思っていても、じつは勘違いしていたということが結構あるようです。

そこで、動物行動学の専門医・入交眞巳先生(日本獣医師生命科学大学)にお話を伺いながら、猫との暮らしで目の当たりにする行動や習性について、専門的な研究に基づいた猫の真相に迫っていきます。

■わさびちゃんちのあわびくんのケース

この連載にいつも写真を貸して下さっているわさびちゃんちには現在、6匹の猫さんがいます。母さんの目下の悩みは、そのうちの1匹、1歳半のあわびくんが「なんでも食べちゃう」こと。

あわびくんは、とにかく目についたものはなんでも口に入れないと気が済まないみたいです。おもちゃはもちろん、猫砂、物をまとめたり固定したりする結束バンド、ありとあらゆるビニール袋、発泡スチロール製の緩衝材、布の切れ端など、これまで食べてきたものは実に多岐に渡ります。

猫砂は、長女猫の一味ちゃんが大好きだった鉱物系の猫砂は、あわびくんが食べてしまうので、別の砂に変えざるを得ませんでした。

「一味は最初は不満そうでしたが、大粒のものなら結局なんでも良かったようで、今は木製チップの猫砂にしています。これはあわびも食べませんし、他の猫たちも抵抗なく使ってくれています」(母さん)

母さんは、あわびくんに食べられないよう、とにかく気を付けて、玩具などは全て戸棚などに隠すようにしているそうです。それでも、ちょっとでも「うっかり」していようものなら、あわびくんの「なんでも食べちゃう」が発動。特にビニール製のものには目がありません。

つい先日も、戸棚にしまってあったビニール袋を他の猫が引っ張り出したところ、あわびくんが袋をガジガジ。ビニールなどは噛むとカシャカシャ音がするのが楽しいのでしょうか。お腹がすいているというより、遊びとして口に入れて、場合によっては飲み込んでしまうのかも。あわびくんにとって、ビニール袋は齧るために存在するかのようです。

「これまでに、何度、あわびが変なものを食べてしまって、動物病院に駆け込んだことか。病院に行くたびに検査したりして、一番嫌な思いをしているのはあわびなのに、何度やっても懲りないのです。幸い今まで、腸閉塞や中毒症になったことはありませんが、なんとかこの癖を治したいです」(母さん)

■対策はあるのか!?

動物病院の先生に相談したところ、お腹がすいているのでは、と指摘されたそうです。でも、ごはんもおやつも充分あげていますし、食事の直後でも、気になるものがあればあわびくんは何でも口に入れてしまいます。

食べる癖を止めさせるのには、まずは食べさせないように環境の整備が重要です。母さんもその辺りは努力して下さっているようですが、更に用心を重ねて、引き出しはベビーロックなどで開かないようにしてはどうでしょうか。ベビーロックは、人間の子供が戸棚や引き出しなどを開けて危険な物に手を出さないようにするための道具です。赤ちゃんが入ることを阻止するためのそういった道具を用意し、愛猫さんの入れる場所を管理すると良いかと思います。

でも、それでも防ぎきれない場合もあります。システムトイレの底に敷いてあるトイレシートの端がほんの少しだけ飛び出していたのを、あわびくんは見逃しませんでした。母さんが気づいた時には、あわびくんはトイレシートの端を噛んで、引き出して、一部はちぎって食べてしまったようです。小さなうっかりが原因ではありますが、トイレに関しては隠すわけにもいきませんから、やはり細心の注意を払うしかないのかもしれません。

それぞれのおうちの環境や、それぞれの猫さんの性格など、背景は十猫十色です。家族構成や住環境などを全て把握し、個別の診断が必要になってくるので、一概にこうだと断定することはできません。でも、やはり環境の整備と細心の注意はしておくに越したことはありません。

一味ちゃんも子猫時代にはコンセントのコードなどを齧ってしまうという、家電はもちろん、一味ちゃん自身にも危険な悪癖がありましたが、コードを保護するチューブをつけたところ齧らなくなり、その後はチューブがなくてもコードに関心を示すことがなくなったそうです。

わさびちゃんちの卒園猫さんの中にも、やはり異物を食べてしまう癖のある子が他にもいました。一味ちゃんの兄弟猫のてっちゃんは、クッションを齧っては、中の綿を食べてしまう癖がありました。そこで飼い主さんは家じゅうのクッションを洗濯ネットに入れたところ、クッションを齧ることがなくなり、今では洗濯ネットがなくても、齧り癖はなくなったそうです。

齧らせないようにする工夫には、齧る対象となるものを目の前からなくしたり(隠す)、このように保護具を取り付けたりする他、対象となる物に猫が嫌いな柑橘系の匂いのスプレーをするのもひとつの手です。

愛猫さんがビニールを齧っているのを目撃したら、すかさずそのビニールにそうしたスプレーをシュッと一吹き。何度か繰り返すうちに、猫さんはビニールを齧ると嫌な思いがすることを学習してやめてくれる可能性があります。

飼い主さんが見ていないところでしてしまう猫さんもいるかもしれませんので、毎回毎回、そんなことはできないかもしれませんが、「犯行現場」を目撃したらやってみる価値はあるかもしれません。

■「常同障害」の可能性も考える

猫さんの場合、好奇心や遊び感覚で齧っているのかもしれません。幼い時にはいろいろなことをして遊び、学んでいきますが、成猫になったら子猫時代に飼い主さんを困らせていた悪癖もいつの間にかなくなった、という猫さんもいるでしょう。でも、癖になってしまって、成長してからもやめない、という猫さんもいます。

中には「常同障害」という病気から紐などを食べてしまう猫さんもいます。常同障害は、ストレス障害のひとつで、葛藤やストレスがたまっていたりすると、そのストレスを解消するために特定の行動を繰り返すことがやめられなくなる病気です。自分の毛をむしってしまう子もいれば、タオルや毛布などに執拗に吸い付く(ウールサック)などといった行動がエスカレートした状態です。自分の尻尾を追い続け、挙句に食いちぎってしまう、といった事例もあります。

愛猫さんが常同障害であれば、それは脳の機能の病気ですので、薬剤療法が必要となってきます。また、普段の生活にストレスが多く、このような行動をしている可能性もありますので、トイレの大きさ、寝床、一緒に住む他の猫たちとの関係、充分な遊びがあるかなど、細かく確認して頂いて、猫にとって幸せな環境を提供することで落ち着く場合もあります。

愛猫さんが心の病を抱えている可能性があるようでしたら、獣医さんや行動学の専門医に相談してみましょう。

文/一乗谷かおり
監修/入交眞巳

指導/入交眞巳(いりまじり・まみ)
日本獣医畜産大学(現・日本獣医生命科学大学)卒業後、米国に学び、ジョージア大学付属獣医教育病院獣医行動科レジデント課程を修了。日本ではただひとり、アメリカ獣医行動学専門医の資格を持つ。北里大学獣医学部講師を経て、現在は日本獣医生命科学大学獣医学部で講師を勤める傍ら、同動物医療センターの行動診療科で診察をしている。

■わさびちゃんファミリー(わさびちゃんち)
カラスに襲われて瀕死の子猫「わさびちゃん」を救助した北海道在住の若い夫妻。ふたりの献身的な介護と深い愛情で次第に元気になっていったわさびちゃんの姿は、ネット界で話題に。その後、突然その短い生涯を終えた子猫わさびちゃんの感動の実話をつづった『ありがとう!わさびちゃん』(小学館刊)と、わさびちゃん亡き後、夫妻が保護した子猫の「一味ちゃん」の物語『わさびちゃんちの一味ちゃん』(小学館刊)は、日本中の愛猫家の心を震わせ、これまでにも多くの不幸な猫の保護活動に大きく貢献している。

最終更新:10/15(土) 17:20

サライ.jp

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