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韓国、汚職防止狙いの「接待禁止法」で大混乱

東洋経済オンライン 10/15(土) 6:00配信

 職務に関係する人から1回3万ウォン(約2800円)を超える食事などの接待を受けるとダメ。1回5万ウォン(約4600円)を超える贈答品を受け取るとダメ。さらには1回10万ウォン(約9200円)を超える祝儀や香典を受け取ってもダメ。

 そんなダメダメ尽くしのウソのようなルールが、9月末に韓国で法律として施行された。

 正式名称は、「不正請託及び金品など授受の禁止に関する法律」。汚職防止を目的とした法であり、韓国では最初に提案した人物の名を取って「金英蘭(キム・ヨンラン)法」と呼ばれている。公職者などへの接待行為と授受金額などを厳しく定めたことで、施行前には違憲論争も出た。

 この法律の対象者は、公務員や公職者、私学を含む教職員、マスコミ関係者など約400万人と広範囲に渡る。これには対象者の配偶者も含まれる。違法となる金額も、韓国の物価水準を考慮すると厳守するのは至難の業だ。にもかかわらず、罰則は3年以下の懲役、3000万ウォン(約280万円)以下の罰金と重いほうだ。

■世論調査では7割が賛成

 だが、この法律の施行に関して肯定的な意見も多い。というのも、「贈答文化」「接待文化」が根強い韓国社会においては、常に政治家や企業経営者による不正・不敗が常に存在してきた。「韓国の宿痾とも言える接待文化をこの法律が終わらせてくれるかもしれない」という期待感があるためだ。実際に、施行前の世論調査では7割が金英蘭法の施行に賛成という結果も出た。

 一方で、同法は具体的な禁止行為が曖昧、かつ適用範囲に恣意的な部分が残り、消費を一気に冷え込ませるのではないかと懸念する声も上がっている。たとえば韓国の中央銀行である韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は8月、「金英蘭法が中長期的には社会の透明性を高め、効率をも高めるためにうまく機能してくれると思うが、短期的には一部サービス業を中心に需要が冷え込み、さらには雇用にも否定的な影響を与えうる」と指摘した。

 閣僚の柳一鎬(ユ・イルホ)副総理兼企画財政相も8月末、「雇用への影響が心配だ。法の趣旨に共感しない人はいないし、施行されればきちんと定着するようにすべきだが、雇用面での影響を心配している」と述べている。

 不安が募っている背景には、昨今の韓国経済の不調も関係していそうだ。韓国統計庁によれば、今年7月の産業全体における生産は0.1%減少し、3カ月ぶりのマイナスとなった。同月の設備投資も前年同期比11.6%減と、減少幅が拡大。生産、投資、消費すべてが振るわない。

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最終更新:10/15(土) 6:00

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