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誰のための原発避難解除なのか─「結局やっているのは“自己責任で戻れ”ってこと」

週刊女性PRIME 10/16(日) 15:00配信

解除から約1年──楢葉町民の90%以上が避難したまま

 福島市と南相馬市をつなぐ福島県道12号線。9月下旬、飯舘村周辺では片側が一車線規制され、来年3月の避難指示解除に向けて大がかりな道路除染が行われていた。行き交う車はダンプトラックなどの工事車両が目立つ。

 2015年9月、全町避難した町として初めて避難指示が解除された楢葉町は解除から約1年がたつ'16年9月12日現在で、帰還した住民は681人。そのうち67%が60歳以上、町民の90%以上が避難したままだ。

 避難指示解除の約1年前、'14年7月に、町の中心部に『ここなら商店街』(仮設商業施設)がオープンした。そのスーパーを訪れ、1時間ほど客層を見ていると、9割以上が除染作業員・工事関係者だ。

 原発事故前からこの地域に配達している業者の男性(50代・いわき市)は、「震災前と今とでは、客層も、入れる商品も変わった」と話す。生鮮食品は売れ残りのリスクが高いため激減し、惣菜・弁当が増えている。

「国道6号線も、多くは工事車両。あとは作業員を運ぶバス。住民の車? 少ないなぁ」(前出の男性)

 唯一見かけた子ども連れの女性(20代)に話を聞くと、「楢葉町に住んでいるが、子どもの幼稚園はいわき市。毎日バスで通っている」と話す。町立の『あおぞら子ども園』はいわき市明星大学の仮校舎にあり、現在、楢葉町内に幼稚園・保育園はない。

「廃炉作業中に何かあったら、ここも危ない」

 同町内にある常磐線「竜田駅」は、現時点ではいわき方面から運行される常磐線の終着駅だ。その先には放射線量の高い「帰還困難区域」がある。

 駅の営業が再開された'14年当時は楢葉町の避難指示は解除されておらず、周辺に住民はいなかった。当時から駅に勤務する鎌倉守保さん(60)は、町の変遷を駅から見続けている。

「本当にいいところでしょう」と目を細め、「原発と放射能がなければ」と続け、苦笑いを浮かべた。

 竜田駅の利用者は工事関係者が目立ち、住民であっても年配の人が多い。

「町の発表では(帰還者は)600人以上だけど、せいぜい400人くらいかな。週に3日自宅で、あとは避難先にいるとか、通っている人がいるからね」

 駅は、福島第一原発から15キロ、第二原発から6キロのところにある。

「チェルノブイリですら原発に近い町は住民を帰していないでしょう。廃炉作業中に何かあったら、ここ(竜田駅)も危ない。復興優先、帰還ありき、というのは大人の犯罪ですよ」

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最終更新:10/16(日) 15:00

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