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プレイステーションVRも話題、VRによる圧倒的な「体験」

Wedge 10/16(日) 12:30配信

 前回はポケモンGOを題材に、AR技術による空間の個人化の問題を扱った。個人の思い出にフィットした情報を現実空間に表すARは、ますますゲームやコミュニケーションツールとして利用されていくことだろう。その一方、個人にフィットした情報空間の構築技術に関しては、仮想現実=VR技術も同様の注目を浴びている。そこで今回は、空間の個人化の観点からVR技術について考察したい。

VR技術の大流行

 VR(Virtual Reality:仮想現実)について簡単に説明しておこう。仮想現実と呼ばれることからもわかるとおり、VRはコンピュータゲームのような現実ではない空間を構築することである。ただし昨今のVRが注目されているのは、目の前のすべてをVR空間にするVRゴーグルを指すことが多い。簡単なものであれば映画館の3DゴーグルなどもVRに該当するが、最新のものは視覚に限らず聴覚や触覚など、様々な感覚を同時に刺激する器具と組み合わせるものもある。2016年はVR元年とも呼ばれているが、その発端となったのがVRを用いたヘッドマウントディスプレイ(HMD)の「オキュラスリフト」と「プレイステーションVR(以下PSVR)」である。

 VRHMDの先駆者は何と言っても「オキュラスリフト」であろう。1992年生まれのパーマー・ラッキーは自らオキュラスリフトを製作し、彼を中心に「オキュラスリフト社」が2012年に設立された。ラッキーはクラウドファンディングという民間の資金募集システムを利用し240万ドルを集めたことでも注目を浴びたが、同時にあのFacebookのマーク・ザッカーバーグCEO(1984~)が注目することになる。その後ラッキーとザッカーバーグはVRやSFの話題で意気投合し、2014年、オキュラスリフト社は20億ドルという破格の値段でFacebookに買収される。こうして順調に開発を進めたオキュラスリフトが、2016年3月に599ドルで発売された※1。

 オキュラスリフトを利用するには高スペックのパソコンと、オキュラスリフトに対応したゲームをダウンロードする必要がある。ゴーグルとイヤホンを装着することで密閉された空間に投げ出されたユーザーは、様々な体験が可能になる。VRで表現されたジェットコースターに搭乗したユーザーは、そのあまりの迫力に腰を抜かしてしまうこともしばしばあり、その再現度の高さが窺える。


※1:なおオキュラスリフトの創業者パーマー・ラッキーに最近大きな問題が生じた。ドナルド・トランプを支持する「オルタナ右翼」と呼ばれるネット発の集団が現在アメリカで大きな話題となっているが、そのオルタナ右翼の集団が設立した「ニンブルアメリカ」というNPOに、ラッキーが資金を提供したという報道がなされた。ラッキーはこれを認めるが(提供額は1万ドル)、自身はトランプを支持するものではないと釈明。しかしラッキーに失望したVRゲーム開発者たちからは非難が殺到。中にはオキュラスリフトに自社のVRゲームは対応させない、と宣言する企業も現れている。西海岸のエンジニアとオルタナ右翼の関係については稿を改めて論じたい。

 次に、10月13日に発売が開始された「プレイステーションVR(PSVR)」だ(価格は44800円だが、その他専用のセンサーとプレイステーション4が必要になる)。9月に行われた「東京ゲームショウ2016」でも大きな注目を浴びたPSVRは、「バイオハザード」など人気タイトルのPSVR版が出展された。その他のVRゲームを含めて110タイトルものVRゲームが出展されたことも話題を呼んでいるが、オキュラスリフトやPSVRを中心に、大きなVR産業が形成されつつある。

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最終更新:10/16(日) 12:30

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