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「大谷翔平という天才を預かって」吉井投手コーチが明かす一流の秘密 日ハム大躍進の舞台裏

現代ビジネス 10/16(日) 9:01配信

 好投手ほど、クセ者だ。それを勝つために束ねるのが投手コーチである。最大11・5ゲーム差をつけられた日本ハムがなぜ勝てたのか。逆転Vの立役者、吉井理人投手コーチが本誌に語る。

まだ発展途上

 投打にわたって、大谷はよく頑張ってくれたと思います。大谷にとってプロ入り初の優勝がかかる大一番となった西武戦も1安打完封。圧巻の投球でした。

 打者をやりながら投手をするのが、どれくらいしんどいか、僕には想像がつきません。打者のことはわかりませんが、投手としては、まだまだ発展途上だと考えています。

 そのひとつに、投球フォームがまだ確立されていないことがあります。(プロ野球史上最速の)164キロを出しましたが、ヒットを打たれてしまいましたし、そのとき、そのときでフォームのバランスを崩したりする。大谷本人も、どれが「自分のフォーム」かまだわかっていなくて、試行錯誤している段階なんです。

 二刀流ですから、試合前でも大谷は投手、打者両方の練習をします。当然、他の投手よりも時間を割けていないので、僕も今後もっとたくさんのことをやらせたいと思っています。

 打者もやりながら投手をすると、体にどこまで負担がかかるか、想像もつきません。それでも、大谷がここまで成長できたのは、自分で考えられる選手だからです。今は大谷がやりたいようにやらせているのが現状です。

 昨オフ、自主トレで食事の回数を増やし、ウェートトレーニングも積んで、体重を8㎏増やして100㎏の大台に乗せていました。

 一般に、体を短期間に大きくすると、バランスを崩して投球がおかしくなる、と不安視する声もあるのですが、私自身は、投手が球威を増すには体が強いほうがいい、と考えています。

ダルビッシュの好奇心

 大谷が2月の米国・アリゾナキャンプで、ダルビッシュと会って食事をして、トレーニング方法などを意見交換したようですが、そのダルビッシュを私も以前、指導したことがあります。

 彼の凄さを一言で言うと「好奇心」。ダルビッシュも体を大きくしたのですが、それも「好奇心」から来ていた。

 「体をでかくしたら、どうなるんだろう。一回やってみよう」って。

 もちろんそれにはリスクが伴うし、大きくしなくても十分に勝てていたので、無理に変える必要はない、という考え方もある。でもダルビッシュは違う。好奇心がリスクを超えるんです。彼の辞書には「現状維持」という言葉はないし、大谷も自分に必要なものを求めて自ら動けるのです。

 大谷は投手としては完成されていませんが、それで今の成績を残せるのですから本当にすごい。これからもっともっとよくなるでしょうし、本人もまだまだ、満足していないと思いますよ。先々は球も速くて、変化球もキレキレで、コントロールもいい、本当にノーラン・ライアンみたいになっているんじゃないですかね。

 体の強さだけに頼らず、自分を客観視できる力も、大谷が一流であるゆえんです。

 5月1日のロッテ戦(QVCマリン)で2回に4失点したものの、味方の援護もあり、結局、完投で9-4で勝った試合がありました。大谷は軸足となる右足への体重の残し方を試合中に微調整して立ち直りました。

 どんないい投手でも、立ち上がりから自分のリズムやバランスで投球することは難しい。ゲーム中にできるだけ早く自分を分析して修正できる投手が、良い投手なのです。

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最終更新:10/16(日) 9:01

現代ビジネス

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